複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.117 )
日時: 2014/04/22 12:09
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: mDiTOv13)

 巻き上がる砂塵、吹き荒れる爆風。

 立ち込める粉煙のヴェールを遅れて衝撃が拭い払う。


 「なん・・・だ、と・・・!?」

 「そんな・・・」
 
 「・・・これは・・・」

 絶句するドミネアたち、硬直する三機のドラグーン。

 繰り出された攻撃。

 放たれた渾身の連撃。





 だが、







 黒い澱みの蛇龍の群れがニドヘッグのハンマーを、フレースヴェルグのレイピアを受け止めていた。

 そして巨躯を縛るヴィゾフィネルの鞭を、その影蛇の咢が喰らい付き、噛み砕いた。

 拘束から解き放たれたと同時に、背部の排熱機関から先程とは比べ物にならない数の黒い影の龍蛇が噴出し、魔竜を囲む三機のドラグーン諸共に雪崩れ込み、覆い尽くした。











 砂漠を埋め尽くす黒い蛇の波。

 暗黒の大海。

 死が蔓延る黄泉のせせらぎ。

 それは原初の海にも似た母なる混沌の揺り籠。








 黒いさざ波がヨルムガントにも押し寄せ、艦隊に捲き付き、高々と持ち上げる。

 黒波から三機のドラグーンも龍蛇に雁字搦めに捲き付かれ、浮上する。

 「何だ、コイツは・・・!!機体が言う事を聞かない・・・!!!」

 ドミネアが操縦桿をがむしゃらに操作するが動かない。

 「機体が何かの力で侵食をされています!!このままでは・・・!!!」

 ペルーシカも焦り、なんとか対応しようとする。

 「万事休す。でも、最終手段がある」

 セラフィナが混乱するふたりに言う。

 「・・・最終?そうか、あれか!!・・・だが、久々だぞ、あれは・・・。失敗すれば・・・」

 「・・・確かに、しかしこの状況を打開するにはそれしか方法が無さそうですね・・・」

 「無理は承知。でも、このままでは皆、やられる。やるしかない」


 三人は頷き合い、それぞれ、コックピットのパネルを操作する。

 そして、操縦桿を一斉に握り、力の限り、木霊させる。




 「「「ヴァルハラ・ユニゾイド解放!!!超竜機合体!!!!」」」




 三体のドラグーンが光り輝き、閃光が黒の龍蛇の拘束を破る。

 燐光を纏い、ドラグーンたちは飛翔し、空中でその姿を変えていく。




 ニドヘッグの機体が拡張、展開し、それぞれ巨大な外装のパーツとなり、ヴィゾフィネルの機体が分割、換装して補うようにフォルムを変形させる。

 その巨大なパーツ群がフレースヴェルグの頭部、上半部、肩部、腕部、下半部、脚部を覆い、重ね合わせる。

 電光のスパークが唸りを上げ、可変した装甲にドッキングする。 
 
 逞しい双腕から巨大な掌が突出し、力強く握り拳を作る。

 雄々しい双脚が巨躯を支えるべく、その剛足が踏み出される。

 胸部に存在を象徴するような白光の竜頭装甲が組み合わさり、背部に巨大なスラスターバーニアを翼のように広開し、勇猛強鋭な躯体をまざまざと魅せつける。

 頭部を覆う外装が縦に分断、開閉して二本の猛々しい長角となり、顔甲部の双眸が命を得て、意志が宿るかごとく裂帛の光を放つ。






 相対する魔竜に匹敵する、全長巨躯のドラグーンが煌々と白塵の輝きを纏う。






 「「「超竜機ユグドラシル、合体完了!!!!!!」」」






 闇が覆う黒海の空間を照らし出し、爆誕した。