複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.118 )
日時: 2014/04/22 17:00
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: /.uLOIob)

 照り付ける陽光さえも霞むほどの白楼の輝きを放ち、悠然とその姿を見せるユグドラシル。


 コックピットは大きく拡張され、三人の少女が鎮座し、白い機躯の巨人を操作する。

 「エンジン出力値、飛行推進装置、共に良好。駆動系サーキット問題無し」

 ペルーシカが モニターから動力システムを確認する。

 「照準、バランサーコントロール、兵装管理プログロラム、異常無し。すべてオールグリーン」

 セラフィナが機体調整し、管轄する。

 「ワイドジェネレーター及びクリアエーテル機構解放確認。・・・いくぜ、ユグドラシル。目の前の化け物に見せてやれ、お前の力をっ!!!!」

 ドミネアが最終確認をし、両手の操縦桿を前倒させる。


 ユグドラシルが右腕部を天高くかざすと、三機のドラグーンの装備武器が集結して形状を変化させる。

 レイピアを覆うようにその柄にロッドウィップが巻き付き、刃を重ねる様に分離したハンマーのドリルが次々と装着され、巨大な騎士槍が完成された。


 「超竜吼槍グングニール!!!!!」


 ユグドラシルが超巨大な騎士槍を構える。

 スラスターバーニアが激しく猛炎を噴射し、巨躯を超加速させる。


 「ラグナロク・ファイナルエクスジャッジメント!!!!!!!!」


 機体は白い光に包まれ、一筋の軌跡を描く大槍となり、一気に魔竜へと突き進む。





 魔竜は迫り来る白熱の超絶大の物体を避け様ともせず、咆哮を上げると、大地を埋め尽くす龍蛇の波を己の機体全面に絡みつかせ、覆い尽くし、超巨大な暗黒の防壁を形成する。




 真正面から激突する白と黒。

 闇は光を飲み込もうと、その虚無を広げ、光は闇を払い、貫こうと激しく輝くを増す。


 空間を瞬かせる光と影の闘争。




 攻防は光の槍が闇の巨壁を打ち破り、ついには貫き、魔竜の巨躯へと突き届いた。





 
 光極の大槍が魔竜を穿ち、眩しい閃光がすべてを白く染め上げる。





 だが、魔竜はまるで、もっと来い、と言わんばかりに白熱化するユグドラシルを徐々に、徐々に押し返す。


 「コイツっ、これだけの質量を喰らってもユグドラシルを押し返してきやがるぞ!!!!」

 「どうやら先程のエネルギー体の防壁でグングニールの出力が大幅に減衰してしまったようです!!!!」

 「このままだと、オーバーヒートする。ジェネレーターが臨界寸前」

 ドミネアたちは相手が予想以上に手強い事を再認識していると、魔竜内部のコックピットから通電が割り込み、モニターに藍色髪の少女が映し出される。

 「くっくっくっくっ、わざわざ大層なお出迎えご苦労様。それで、デモンストレーションは、もうお終い?ヨルムガントドラグーンの皆さん?」

 ティアマト・アルヴァΩを操躯するミカエラがその蛇のごとき不気味な瞳を収縮させ邪悪に笑う。

 「それでは、次はこちらの番だな。・・・お前たちにも味わ合わせてやろう、人も竜も超越した神の力の片鱗を・・・」

 ティアマトのすべての複頭竜が口角を開き、ひと際大きな咆哮を上げると、全身から禍々しいまでのエネルギーを凝縮させていく。


 「なんだ、この反応値は!?奴の出力は限界が無いのか!!!」

 ドミネアが押し合いを続けるティアマトに集束されるエネルギー値に驚く。

 「これはっ・・・!!!直ぐに離脱を!!!このままこの場に留まるのは危険です!!!!」

 ペルーシカが瑠璃色の目を見開き、離脱を訴える。

 「離脱賛成!!!けど、直ぐには無理そうっ!!!!」

 セラフィナが苦しそうに顔を歪め操縦桿を力を籠め、握る。





 ティアマト・アルヴァΩに黒い濁流の光が渦巻き集まり、大口を開けた顎甲に吸収される。



 ミカエラが冷酷に言い放つ。



 「・・・星の塵と還れ。カオス・ネガ・ディザスターゲイト!!!!!!!」



 
 暗黒の球体が放たれ、ユグドラシルを飲み込んだ。