複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.12 )
日時: 2014/03/25 14:09
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: /f6cMoTi)

 バハムート艦内食堂ラウンジ。

 機能さと優美さを備えた大多人数を収納できる空間。

 大勢の乗員が憩いの場としても利用している。

 マリア、エリーゼル、セツナは同じテーブルの席に着き、食事をしている。

 「やはり、もっとチームワークを重視し、連携を起点に行動した方が効率が良いとわたくしは思うのです」

 エリーゼルがナイフで料理を切り分けながら話す。

 「う〜ん、でもあたし、広範囲攻撃が多いから皆を巻き込んじゃうかもしれないし・・・」

 マリアが思案顔でフォークで刺した料理を口に運ぶ。

 「・・・」

 セツナは周りの喧騒を遮断し目の前の料理に集中する。いつもように和食をメインとしたものを選んだ。今日の献立はサバの味噌煮定食だ。濃い目の甘い味噌と生姜の辛みのアクセントが効いていて米が進む。

 「ミス・セツナはどう思いますか?」

 「・・・え?」

 エリーゼルにいきなり話を振られて箸が止まるセツナ。ほとんど会話を聞いていなかったので適当に相槌を打って答えようと考えた時、彼女たちの前に数人の乗員が現れた。

 「あ、あの、ドラグーンパイロットのセツナ・アオイさんですよね?」

 年の頃十代そこそこの初々しい少女がモジモジと緊張した面持ちでセツナに話しかけてきた。

 「・・・そうだけど」

 セツナが抑揚の無い短い返事を返すと少女は顔を赤くし大声で叫ぶ。

 「あ、あの!わ、わたしと握手してください!!!」

 そう言って頭を勢い良く下げて、手を差し出す。

 セツナは一瞬何が起きたか解らず、ポカンとしていたが今にも艦から飛び降り自殺しそうな雰囲気の少女に根負けし、その手を握った。

 「!!!」

 少女はバッと顔を上げ、それから目頭に涙を浮かべて感激した様子で手を握り返す。

 「あ、有り難う御座います!!!!」
 
 彼女たちはドラグーン候補生。

 未来の地球を守るため、セツナたちの後釜として日々厳しい訓練を受けている。

 実戦で活躍するセツナたち、エースパイロットは彼女たちの憧れなのだ。

 その後、後ろで心配そうに控えていた他の少女たちも我も我もとセツナに握手を求め、さながらアイドルの握手会の騒ぎだった。

 当のセツナ本人は終始、困惑した表情で対応に追われていた。