複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.130 )
日時: 2014/04/25 20:59
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: TV9sr51/)


 忽然と倒れ伏すシャオ。

 「ぐ、うぅううっ・・・!!!」

 胸を押さえ、苦しみ出す。

 「先生!!?」

 「メイちゃん!!?」

 駆け寄るミヅキとエウロペア。

 「・・・シャオ、先生・・・? 一体、何、が・・・」

 目覚めたヴェロニカが横たわるメディカルマシンから混乱する現場を横目で窺う。


 「う、ぐぁあああああああああああっっっっ!!!!」

 一段と苦しむシャオ。
 
 突然すぎる事態の連続でパニックになる、その場の者たち。


 悶え、うずくまるその幼い身体が急激に大きく、急速に成長していく。


 「・・・えっ、これは・・・!?」

 「・・・そんな!? メイちゃんが・・・!!?」

 その場の全員が再び信じられない現象に驚愕、注目する。

 
 











 そこには、年の頃、二十歳前後の長く伸びた白桃色の髪を蓄えた美女が収まりきれないパイロットスーツから豊満な双丘をまろび出し、括れた曲線を讃える肉体を晒していた。



 









 「・・・ふうっ、やれやれ。儂が何十年も洗練し、費やし溜めた『仙気』がほとんどパアになってしまいおったわ・・・」


 艶やかな色香のある美声で、小さくなった?スーツを脱ぎ捨て、惜しげもなく芳醇な裸身をお披露目するシャオ。





 一同、目が点になっていた。






 そして響く叫声。

 



 「「「えええぇぇぇえええぇええっっっっっ!!!!???」」」


 























 「・・・そうですか、それで私に先生の御力を・・・。なんとお礼を申せばいいのか、先生には昔からお世話になってばかりで・・・」

 血色も良くなり、肉体的外傷もほとんど癒されたヴェロニカはベッドに移し替えられ点滴を受けていた。

 「うむ、儂も実践するのは初めてじゃったからのう。うまくいって良かったのじゃ」

 白衣を一枚羽織り、豊満なボディを申し訳程度に隠す美女、シャオが腕組みし言う。

 その隣で複雑な表情のミヅキ。
 
 「・・・とにかく先輩が助かって良かったです・・・。私からもお礼を・・・、有り難う御座います、シャオ先生」

 さらにその隣で頭を抱えるエウロペア。

 「・・・メイちゃんが、メイちゃんが大人に、バインバインに・・・。あの小さく愛らしい姿は何処へ・・・」

 そこに、慌ただしく部屋に入る集団。

 ドミネア、ペルーシカ、セラフィナ。

 「ヴェロニカ艦長!!! 容態が急変・・・!!!」

 「馬鹿者、ここは病室、それに私は怪我人だぞ? ・・・一応な」

 開口一番飛び込んできたドミネアにヴェロニカは叱責し、優しく微笑む。

 「・・・お前たちが無事なのが、何よりも私は嬉しいぞ・・・、ドミネア、ペルーシカ、セラフィナ・・・」

 「・・・か、艦長・・・」

 「・・・御無事で何よりです・・・」

 「・・・凄く嬉しい・・・」

 涙ぐむドミネアたち、暖かな眼差しのヴェロニカ。

 それを微笑ましく見守るシャオたち。





 つかの間の邂逅。






 だが、それは、ほんの一時の平穏に過ぎない。








 闇の魔糸はすでに、獲物を絡め取る様に、深淵の領域の奥深くまで張り巡らされているのだから・・・。