複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.140 )
日時: 2014/05/02 00:58
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: nWdgpISF)

 シズクたちに襲い掛かる五体のドラグーン。

 すぐさまダハーカとザハークが立ち塞がり、炎と氷の壁を形成し牽制する。

 「シズクさん! ここは私たちが喰い止めます!!」

 「一刻も早く、『器』を破壊して下さい!!!」

 リーシェとリーファが戦いながら、シズクを促す。

 「リーシェ! リーファ! 判った!! 任せたわ!!!」

 ワイアームが駆け抜け、飛翔する。

 目指すは鳴動する魔の胎児。

 「そう簡単にやらせると思う?」

 「!!」

 連続して放たれるレーザーの雨。

 翼を大きく翻し、躱すワイアーム。

 そこに、鈍鉄色のドラグーン、ジズが飛び込み、両腕から展開された銃砲を撃ち放ち攻撃する。

 「貴方も『あの中』に叩き込んでやるわ!!! センティネルイレイザー!!!!」

 高速旋回しながらレーザーを執拗に射撃し追いかけるアリーザ。

 「お前は間違っている! アリーザ!! こんな事をしても何も解決しない!!! 黒双波刃!!!!」

 ワイアームが振るう双剣から黒い剣閃の波動が幾つも斬り放たれて、レーザーと相撃ち、滅消される。

 「間違いなのは世界だ! 人間だ!! 私は取り戻す!!! 平和な世界を!!! あの人が守ろうとした世界を!!! 人を脅かす竜など根絶やしにしてやるのだ!!!!」

 ジズの外装の装甲が展開し、幾つもの砲門、エアッドブラスターが射出され、著しいエネルギーが籠る。

 「そのために、『器』が必要なのだ!!! 『世界の意志』に巣食う竜の祖を滅ぼす!!!! インフィニティ・コープスガスト!!!!!」

 機体が発光し、無数のレーザーが無尽蔵に発射された。

 洞窟内に嵐のごとく縦横無尽に撃ち込まれる閃光。

 所構わずレーザーが飛び交い、巻き込まれるドラグーンたちは己の防衛で手一杯で戦いの中断を余儀なくされている。

 際限なく撃たれる破壊光線を双剣で弾きながら、裂帛するワイアーム。

 「それでも! 私は!! 否定する!!! 爆竜モード起動!!!!」

 ワイアームの外装が輝き、次々に装甲が換装していく。

 同時に双剣が大きく拡張しエネルギーのブレードを形成する。

 「喰らえ!!! 必殺!!!! 黒竜光塵剣・断!!!!!」

 漆黒の彗星をレーザーを打ち消しながら突き進む漆黒の竜機。

 「チイィイイッ!! 餓鬼がぁああああっ!!!」

 一点集中してレーザーを凝縮して放つ鈍色の竜機。

 互いに押し合い、引かぬ猛襲。

 その時、火山洞穴が凄まじく揺れ出した。

 「!!? これは!!!」

 「!! 目覚めるのか!!?」

 鳴動する肉塊が爆ぜ、中から暗黒の混沌物質が流出し溢れ出す。

 洞穴内を埋め尽くす濁流がドラグーンたちを飲み込んでいく。

 「うわぁああああっ!!! リーファ!!!!」

 「きゃぁあああああっ!!! リーシェ!!!!」

 闇がダハーカとザハークを覆い尽くす。

 「!!! ふたりともっ!!! くぅううう!!! うぁあああぁぁああああっ!!!!!」


 混沌の衝崩はシズクのワイアームをも捉え喰らい付く。



 闇が覆う。



 すべてを閉ざす暗闇が。








 意識が呑まれていく。







 咄嗟に想ったひとりの少女。











 謝らなければ。














 約束を果たせそうに無い。
















 ————————セツナ。