複雑・ファジー小説
- Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.141 )
- 日時: 2014/05/01 23:52
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: nWdgpISF)
振り返るセツナ。
誰かに呼ばれたような・・・。
「どうしました、ミス・セツナ?」
エリーゼルが聞く。
「・・・ん、何でもない」
気のせいかもしれない。
でも、何故か心を掻きたてる。
そんな感じがした。
激しく振動し、崩壊していく火山大陸。
その燃え滾る灼熱の火口を貫き砕き、吹き出す炎の中から黒い巨大な影が伸び上がり、幾重にも別たれ姿を現す。
黒い、何処までも黒く邪悪な龍蛇が鎌首をもたげ、真紅の双眸を爛々と明滅させて十二本の長大な首をのたうたせる。
それを上空で鈍色のドラグーン、ジズのコックピットから見下ろすアリーザ。
「・・・思ったより覚醒が早いかったわね。やはりオリジナルの数が足りないせいかしら・・・。でも、」
余りにも巨大な胴体をくねらせる複頭の龍蛇。
その十二の顎口を大きく開け放ち、それぞれ数多の方向に向く。
集束していく闇色に輝く光塵の濁流。
空間を歪ませる澱みがそれぞれの龍頭に集束し、暗黒球を幾つも形成する。
————————閃光。
破壊の息吹。
十二の竜から穿たれる十二の黒色の極幻の光り。
海原を蒸発させ迸る。
大地を切り裂き両断する。
瞬間。
黒の極光が包み込み、すべてを飲み干す
天を染め上げる暗闇。
「・・・十分『アレ』と渡り合える。もう少しです、ロゼ先輩、もう少しで・・・」
世界中の大陸を覆った闇の閃光。
バハムート、ヨルムガント、シェンロンからも確認された。
凄まじい衝撃の余波が遠く離れた艦をも揺るがす。
軌道衛星から送られてきたモニター。
そこには雲にも届く巨大な十二の首を持つ漆黒の邪龍がユラユラと漂っていた。
皆、すぐに理解した。
あれは危険な存在だと。
イリアが告げた混沌。
まさに世界の危機。
止めなければならない。
決戦の時が来た。
暗黒の邪龍。
その内部。
藍色の髪の少女、ミカエラが悍ましい躍動する肉塊に取り込まれ繋がれている。
「・・・来イ。・・・セツナ・アオイ。・・・ケリヲ着ケテヤル」
闇濃とした瞳をギラつかせ、虚空を睨んだ。