複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.143 )
日時: 2014/05/02 13:01
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: SkADFG9E)


 静寂が支配する夜。

 荒涼とした砂漠に停泊する三つの艦隊。

 はるか彼方の地平線、そのさらに向こう側から伝わる、刺すようなプレッシャー。

 感じる。

 空気が張り詰めている。

 憎悪の塊が虎視眈々と待ち望んでいる。

 邪、そして、魔。



 セツナはヨルムガントの甲板から明日、赴くだろう地を見やる。

 エリーゼルが装壁に背を預け、誰ともなく呟く。

 「・・・そろそろお休みしましょう。明日に備えて鋭気を養わなくては」

 「ふぁあああっ・・・、うん、そうだね。あたしも眠るよ・・・」

 マリアが欠伸をする。

 「・・・うん」

 セツナが甲板から離れ、ふたりと一緒に艦内に戻ると、ドミネアが通路脇で待ち構えていた。

 「・・・おい、バハムートの竜機乗り」

 包帯で覆った肢体を煩わしそうにし、セツナたちに歩み寄る。

 「・・・なに?」

 
 ドミネアは、少し間を置き、

 「・・・明日の出撃、しくじるなよ。アタシたちはこんな状態で、ドラグーンも修復、調整中だ。・・・悔しいけど、あんたらに任せる。・・・それだけだ」

 そう素っ気なく言い、身体を引き摺りながら去って行った。




 その後ろ姿を見つめるセツナたち。

 「・・・彼女なりの激励でしょう。有り難く受け取っておきますわ」

 「きっと総力戦になるだろうね・・・。あたしの中のイリアも緊張してるみたい」

 腕組みするエリーゼルと胸に手を当てるマリア。

 「・・・全力を持って挑む。・・・それが、わたしたちに出来る事」

 セツナは静かに、確かめる様に言った。

 ドミネアの言う通り、失敗は許されない。

 何があるか判らない。

 予想だにしない展開が起きるかもしれない。

 それは、厳しい戦いになるだろう。

 三人は互いに頷き合った。





















 「いてて・・・。まだ、本調子じゃないか。派手にやられたからな」

 ドミネアがセツナたちから離れた通路で、痛む身体を押さえ溜息を吐いていた。

 「格好つけるからですよ、ドミネア。素直に応援すればいいのに」

 ペルーシカがドミネアの肩を支える。

 「見ていてもどかしかった。あと、恥ずかしかった」

 セラフィナが反対側から支える。

 「・・・うるさい。いいんだよ、あれで。それに、アタシらは、アタシらでやる事が山積みだしな・・・」

 そう言って左右で支えられながら、三人は歩く。

 「まずは、身体を治す。そして、ドラグーンも直す。まずはそれからだ。・・・あの黒いデカい奴に百億倍にして返してやるぜ・・・」

 

 黙って視ているなんて冗談じゃない。

 必ず、間に合わせる。

 真打ちは遅れてやって来るものだ。





 ドミネアは不敵に笑った。