複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.15 )
日時: 2014/03/26 11:38
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: 1lVsdfsX)

 パイロットになれば竜種を殺すことができる。

 姉の仇を取ることができるとセツナは考えた。

 そして迎えた適合試験、竜種細胞の投与を無事にクリアし、搭乗した機体、それがワイバーンである。

 初めて触れる未知の物体。

 だが、竜種細胞を投与したせいなのか不安や恐れは一切無かった。むしろ早くこの機体で竜種を八つ裂きにしてやりたいと思った。

 機動実験は驚くほど簡単に成功し、手足の延長の様に違和感無く自由に機体を動かせた。

 それから幾多の実験と実践を繰り返し、今に至る。

 セツナが写真を元の場所に戻そうとした時、突然艦内にアラームが鳴り響く。竜種接近の警報である。

 セツナは部屋を飛び出し、ドッグへと向かった。



 ブリッジメインルーム。慌ただしくオペレーターたちが情報を交換していた。

 「モニター出ます!こ、これは!?」

 モニターには一際巨大な竜種が映し出されていた。

 「・・・原竜種!!」

 艦長ミヅキは先日セツナから報告に在った個体だと判断した。

 「至急すべてのドラグーンのパイロットを・・・!」

 「か、艦長!!ドッグからすでにワイバーンが発進しています!!」

 オペレーターのひとりが慌てて報告する。

 「何だと!?他の機体はどうした!?」

 「換装の準備がまだ完了していません!ワイバーンは換装途中で無理矢理出撃してしまった様です!!」

 ミヅキは眉をしかめ、小さく舌打ちをした。

 「一機だけで向かったのか・・・!!相手は原竜種だぞ!死ぬつもりか!?セツナ・・・!」

 



 風を切り飛翔するワイバーン。巨大な長剣を携え狩るべき獲物へと向かう。

 コックピット内で鋭い視線で、さながら餓えた猛禽類のごとくモニターを睨みつけるセツナ。

 「・・・見つけたぞ!原竜種!!」

 眼下に巨大な体躯をうならせ飛行する異形の竜種を捉えた。

 セツナは確信していた。『奴』が来たと。先日逃げられてしまった大物、敵の総大将。

 「今度は逃がさない!!」

 ワイバーンは長剣を構え急降下する。

 案の定、取り巻きの竜種が立ち塞がるが瞬く間に寸断し、原竜種の頭上に迫る。

 「喰らえ!!化け物!!!」

 セツナが長剣を振りかぶり原竜種の頭部に斬り付けたが、凄まじい頑強さで弾かれてしまった。

 「!!?」

 再び、今度は首の部分を斬るが刃がほとんど通らない。

 「ちぃっ!なんて固い鱗だ・・・!!」

 手をこまねくセツナを嘲笑うかのように大きく羽ばたき上空へ飛翔する原竜種。

 「!? 逃がすか!!」

 追いかけようとするが、無数の竜種が行く手を遮る。

 「失せろ!!ウィングフェンサー展開!!!」

 ワイバーンの翼の両羽が開き、刃の羽根が展開され旋回しつつ竜種の群れを切り刻む。

 上昇しながら原竜種を追尾するワイバーン。

 「逃がさないと言っただろう!メインジェネレーター出力最大!!激竜モード機動!!!」

 ワイバーンの各所の装甲が反転、展開し鋭利で狂暴な姿へと換装する。

 「飛龍剣拘束解除!!エネルギー充填開始!!!」

 掲げた長剣の刀身が展開し巨大な大剣となる。背中の翼が蒼い羽を形成し蒼翼を創る。

 展開された大剣に蒼い光が集約し長大なレーザーブレードを完成させた。

 「覚悟しろっ!人類の敵め!!私が根絶やしにしてくれる!!!」

 蒼い飛竜が空を駆け抜ける。