複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.151 )
日時: 2014/05/08 19:10
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: KZXdVVzS)

 十三の光翼を羽ばたかせる白陽の輝竜。

 十三の邪頭を蠢かせる黒影の闇龍。

 そして埋め尽くす竜種の大群。

 闇竜が多頭から漆黒の閃光を放ち、竜種群を薙ぎ払う。

 爆轟。

 連続して薙ぎ払い、蒸発させる。

 闇龍はセツナたちには目もくれず、光を纏う竜目掛けて突き進んだ。

 輝竜の光輪が輝き出し、白刃が直線状にほとばしると闇龍の首を何本も貫き溶解させるが、瞬時に再生し口から暗黒球を撃つ。

 空に黒い波動の天幕が発生し、竜種を巻き込みつつ、こちらまで衝撃波が巻き起こる。

 


 「こ、これは・・・!! なんて戦いですの!? いえ、最早これは戦いとは呼べませんわ・・・!!!」

 「うわーっ!! まさに怪獣大決戦だよーっ!!!」

 エリーゼルとマリアが驚愕する。

 「シャオ師匠は、どうなっちゃたの・・・?」

 「老師はあの中に取り込まれたように視えたけど・・・」

 フェンとルウミンがシャオの身を案じ、戸惑う。


 「多分、大丈夫。取り込まれたのはドラグーンだと思うから無事なはず・・・でも、早く助けないと・・・」

 気を失っているのか、動かないシズクたちを心配しつつも、相争う二匹の超竜が気になるセツナ。

 

 「くっ・・・! このまま黙って見ていろというのか、世界の終焉を・・・!! シャオ先生、ロゼ先輩・・・私は・・・」

 ミヅキが悔しそうに操作盤を叩く。


 「私たちは・・・どうすればいいの?・・・」

 エウロペアがモニターに映る光景を見つめ、呟く。



  





 






 「はははっ! そうだ、やれっ! ミカエラ!! 星の意志ごと喰らい尽くせ!!!」

 アリーザは超竜が戦うギリギリまで、ドラグーンを飛翔させ興奮し叫ぶ。

 超大な体躯が激突する二体。

 闇龍は十三の首を一斉にをかかげ開口し、輝竜の光体に喰らい付いた。

 絶叫を上げる光の竜。

 翼を伸ばし逃れようとするが、影が纏わりつく様に絡み逃さない。

 「さあ、消し飛ばせっ!! 宇宙の藻屑へと還してやれ!! 竜種を根絶やしにしろっ!!! ・・・ああ、ロゼ先輩・・・もうすぐ・・・もうすぐに、私たちが望んだ平和な世界が・・・」

 アリーザは感極まったように囁く。

 だが、そこで異変に気付く。

 闇龍が喰らい付いたまま動かない。

 いや、動いてはいる。

 巨大な全身から夥しい影の触手を伸ばして、輝竜の全身を侵食していた。

 「なっ!? 何、を・・・!! ミカエラ!! 何をしている!! 殺せ!! 滅ぼすんだ!! 消してしまえ!!!」

 ジズが飛翔し、闇龍に叫ぶがまったく応じない。

 それどころか喰らい付いた首の一頭が襲い掛かってきたのだ。

 「!!?」

 瞬間的に身を翻して躱すアリーザ。

 竜頭の赤い眼光が睨み据える。

 「ミカエラ!! どういうつもりだ!! まさか、意識が乗っ取られて・・・!!?」

 「・・・ワタシはいたって正気ダ、艦長。いや、アリーザ・・・」

 竜頭の額からミカエラが肉腫と共に迫り出してくる。

 「・・・何のつもりだ、これは・・・」

 アリーザの怒気が膨れ上がる。

 「フッ・・・アンタには感謝していル・・・『力』を貰ったからナ・・・そして、今、最高の『力』が手に入っタ・・・」

 ミカエラは顔を今だ蝕まれている輝竜に向ける。

 「貴様・・・!! 正気か!? 星の意志を己の制御下に置く気かなのか・・・竜の祖は人間の意識を超越した存在・・・人が認識、コントロールすることは出来ない・・・それは、特異点になった貴様が一番分かっているだろう・・・!!!」

 アリーザが銃砲を向ける。

 だが、なにがおかしいのか、ミカエラは笑う。

 「フフ、ククク、ハハハハハハッ!!!!」

 「!? なにを笑う!!!」

 「支配下に置ク? 制御すル? 違うナ・・・ワタシは共存するのダ・・・」

 ニヤリとするミカエラ。


 「な、ん・・・だ・・・と」

 





 
 「ワタシは・・・ワタシたちは・・・『ひとつ』になるのダ!!!!!」