複雑・ファジー小説
- Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.153 )
- 日時: 2014/05/10 23:49
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: gG5ipZbC)
艦砲射撃を繰り返すバハムート、シェンロン。
エリーゼルやドミネアたちの猛攻から逃れた、はぐれ竜種が艦隊に襲い掛かってくるのだ。
そのこぼれ出た異形を艦が砲撃で撃沈させ、汎用ドラグーンが艦体を守りながら撃破する。
しかし、それでも明りに呼び込まれる蟲のように集まる竜種を相手取るには厳しかった。
無尽蔵に湧いてくる敵・・・このままでは、いずれ此方が力尽きてしまう・・・。
そう誰もが思った、
その時、
するどい砲弾、ミサイルの弾頭が覆い尽くし、並み居る竜種を薙ぎ払った。
「!? 今のは、どこから!?」
ミヅキたちが振り返る、そこには、
「派手にやっているな、私も参加させてもらうぞ」
海上を進む巨大な戦艦、ヨルムガント。
その管制室。
オペレーターに囲まれ、中央のセントラルシートにヴェロニカが座り指示を出す。
「目標敵竜種っ!! 全弾ぶちまけろっ!!! 一匹たりとも艦に触れさせるな!!! 汎用ドラグーン全機出撃!! 竜種どもを叩き潰してやれ!!!」
戦艦から無数の砲弾が飛び交い、武器を構えるドラグーンたちが発艦される。
「ヴェロニカ先輩っ!! 来てくれたのですね!!!」
ミヅキが驚きつつも喜び迎える。
「ヴェロちゃ〜んっ!! 待ってたわ〜、やっぱり来ると思ってたわ〜!!!」
エウロペアが歓喜する。
「少々艦の修復に手間取ったが、間に合ったか。さあ、雑魚共を蹴散らすぞ!!!」
ヴェロニカが大きく手をかざす。
雲海を潜りぬけ、飛翔するワイバーンD.R。
それを追い掛け、十四頭の首をのたうたせ、白と黒の多翼をはためかせる虚龍が雲から現れる。
『セツナ・アオイ・・・貴様ヲ超えてこソ、『ワタシたち』は更なる高みへ、望めル・・・そしテ、この星を新たなる母星とシ、『ワタシたち』種ハ繁栄を極めるのダ・・・再び、宇宙へと至るためニ・・・』
「これが、シャオ先生の言っていた原初の・・・!『竜の祖』・・・! このまま応戦しては地上に被害が、それに戦っている皆を巻き込んでしまう・・・それに、取り込まれたシャオ先生を助けなければ・・・どうしたら・・・!!」
セツナは空を翔けながら戸惑う。
その時、雲を抜けて一機のドラグーンが割り込んできた。
「ミカエラッ!! 貴様は失敗作だ!!! 私が処分してやる!!! 出来損ないめっ!!!」
アリーザがジズの歪な銃身をかかげ、言い放つと先砲に暗黒の邪影が集束、それとともに機体が侵食されボロボロと崩れ始める。
「ゲノムブレイカー最大チャージ!!! ゴミ屑に変えてやる!!!」
コックピットのアリーザも肉体の侵食が進む。
「死ね!!!! テトラマトリクス・ゲマトリアデスペイン!!!!!」
黒い波動の閃光が幾重にも歪曲し穿たれ、虚龍を包み込むと、その巨体を震わせ苦しみだす。
身体を構成する組織が崩れ始めてきた。
「ハハハハハハッ!!! 滅べっ!! 滅べっ!! ほろ・・・っ、ごはぁっっ!!!!」
大量の黒い血を吐き出すアリーザ。
それに合わせ、閃光が徐々に弱まり途絶える。
「ごほっ!! 身体が・・・! 言う、事・・・を・・・!!!」
コックピットをどす黒く染め、血を吐くアリーザの眼前に巨大な首がしなりジズの機体に叩きつけられた。
そしてそのまま撃墜され、雲の合間に消えていった。
一部始終を見ていたセツナは今だ、苦しみ悶える虚龍の胴体、その一部の場所から何かの塊が肉にまみれて浮き出るのを発見した。
「!! あれはっ!!!」
それは、シズクたちのドラグーンとシャオのドラグーンだった。