複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.155 )
日時: 2014/05/13 17:32
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: OJjBESOk)


 のたうつ虚龍、その躰から取り込まれたリヴァイアサンのドラグーンたちが吐き出されるようにまろび出て、雲界の下に落ち、消える。

 「飛空蒼竜断!!!」

 そこにワイバーンD.Rが翔け、首のひとつを両断する。

 「こっちに来い! ミカエラ! 相手をしてやる!!」

 セツナの呼び掛けに残りの頭蓋が一斉に向き直る。

 『セツナ・アオイ・・・貴様ヲ・・・貴様ダケは・・・この手デ・・・』

 高く飛翔するワイバーン。

 高く高く。

 それを掴もうと多数の首を伸ばし、追い縋る虚龍。

 成層圏。

 いつしか大気をも超え、宇宙の暗がりへと突き出る蒼竜。

 あまねく星々に懐かれる母なる海。

 虚龍がそれぞれの首から閃光を撃つが、ことごとく躱し、逸らし、翻弄し、蒼い惑星を背に翼を返し、両極剣をかざす。
 
 巨大な口を揃える虚龍が膨大な闇の塊を創り出し、解き放つ。

 「・・・この一撃にすべてを・・・」

 セツナは眼を閉じ、己が持てる力のすべてをワイバーンに託す。

 そして貫く様に構え、超々速で暗黒流に突入する。

 「超・飛龍剣・斬光無蒼!!!!!!!」

 機体を蒼い波動が包む飛龍。

















 空から降ってきた複数のドラグーンを受け止めていたドミネアたち。

 巨大な竜が蒼い竜を追い、宇宙そらへと昇るのを視た。




















 流れる銀河を背に、蒼光が暗黒流を貫く。

 そのまま多頭を撃ち抜き、中心のコアに突入するが、繰り出す多段斬撃に抵抗するように破壊された外殻が何度も再生されていく。

 だが、徐々に僅かな歪みが生じるとセツナは一気に力を解放した。

 「はぁあああああああああああっっっっ!!!!!!!!」

 亀裂が走り、再生力を上回ると砕ける外殻、刹那、蒼い波動が貫き奥へと突き進むワイバーン。

 だが、同時に両極剣の片刃が折れ飛んだ。

 機体が貫き出たその先は。

 広大な空洞。

 その中心。

 繋ぎ止められたような黒い卵殻。

 すべてを拒絶するように堅く閉ざされている。

 ワイバーンは片刃の蒼剣を振り上げ、斬り下ろした。

 斬撃の剣閃が走る殻。

 響く破砕音。

 砕けたのは片刃の蒼剣だった。

 漆黒の卵殻の表面は無傷。

 まるで何もかも拒み、閉じこもる心の壁。何者をも拒む堅牢な外壁に損傷を与えることすら無理なのか。

 「・・・ミカエラ。本当のあなたはどこなの? 正直わたしはあなたのことをよく知らない。どうして、わたしに拘るのか・・・」

 セツナは折れた蒼剣を投げ捨て語る。

 「あなたは以前のわたしに似ている・・・力さえあれば、それでいいと、すべてが上手くいくと思っていたわたしと・・・」

 ワイバーンの手をかかげる。

 「わたしたちはお互いに知らないことが多すぎる・・・だから・・・」

 拳を握り、構える。

 「まずは一緒に話をしよう」

 そして全力で拳を卵殻に叩き付けた。


 


















 海上で大破したアリーザのドラグーン、ジズが漂う。

 「うご、け・・・動け・・・ま、だ・・・終われ、な、い・・・」

 黒い血泡を吐きながら朦朧と呟く。

 そこに浮上するリヴァイアサン。

 汎用ドラグーンが数機が現れ、機体ごと回収されていった。