複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.161 )
日時: 2014/06/02 22:16
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: G3bbAK5P)


 破壊の光。


 創世の光。


 荘厳かつ幻麗。


 黎明かつ黄昏。


 それは確かに光の速度で宙空そらを疾った。

 すべての干渉を打ち砕き、ヴォイド現象をも断ち切った。

 その光は、虚龍の逆鱗をまるで卵の殻を割るように造作もなく撲り砕いた。


 “完全封殺”


 膨張する着弾点。

 過剰エネルギーはそれだけには留まらず虚龍の巨躯を駆け巡り内部、そして外部をも撃ち抜く。


 “励起崩壊”


 断末魔を上げる虚龍。


 木霊する瓦解音。


 崩れる巨大な躯体。


 龍の身体が砕け、全身からエネルギーを噴き出す。


 今だ超越の膂力、背力を以ってして、虚龍の躯に駆け巡る光の奔流は、タイミングを計ったかの様に全てが中心点に集まり集束し、蒼い飛龍は其処を突き破り飛翔した。


 蒼い星を背に、蒼い飛竜が重なる。


 まるで星から産声を上げたかの様に。


 解き放たれたエネルギーの奔流は拡散され、虚龍の複頭も尽く崩れ、地球の大気へと墜ちていく。

 
 零れ出た光は飛龍の蒼い輝跡と混じり流星の矢となって夜空を駆けた。


 それは、蒼穹を大地に振り撒き、死に瀕した大地に命の種を蒔いていった。


 余すことなく世界全てに。