複雑・ファジー小説
- Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.168 )
- 日時: 2015/01/18 02:09
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: Re8SsDCb)
紅の機影が突き進む空。
「・・・索敵レーダーに多数の竜種反応を確認。見付けましたわ、『異竜種』。私に狩られるべき哀れな獲物・・・。ペンドラゴンッ!!」
紅き残像を描き超高速で滑走するドラグーン、ペンドラゴン。
目視でも確認できる距離まで急速接敵を図るべく機体をエリーゼルが繰り出す。
雲を抜け、晴空を切り、襲撃する。
群れを率いる竜種群は突如迫り来る謎の物体の気配を察知し、逸早く警戒態勢を取っていた。
群れをはぐれた仲間の一体を追い探していた所、凄まじい圧迫感を伴い何者かが此方に接近しようとしていたからだ。
明らかな敵意を担って。
衆群を統率するリーダー、原竜種であるヴィーヴィルを無数に連れるその個体は他の竜種よりも何廻りも巨大な体躯を誇り、より邪悪な単眼をギョロつかせると迎撃を知らせる咆哮を高く嘶き、知らしめる。
それを聞き他の竜種がすかさず戦闘に移るべく囲むように翼を翻し布陣を整える。
途端眼前の雲間を貫き赤光線が幾つも貫き瞬時に数体の竜種の躰を穿ち、屠った。
奇襲を射掛けられた事に怒ったのか、同胞がやられた事に怒ったのか、異竜種は憤怒の激吼を上げ雲を縫い現れ出でた襲撃者を見やった。
「・・・ふぅん。見たことない種類ね。原竜種ヴィーヴィルの亜種か、もしかしたら進化体か・・・新たな異竜種・・・敢えて名づけるならば、魔眼の王『バロール』といったところかしら」
エリーゼルがペンドラゴンの操縦席で興味深そうに己と対峙する異形を前に思案する。
凶悪な面構えと怒気で敵対者を睨みつける異竜種バロール。
「ふふっ、相手にとって不足無しですわ。存分に味合せてもらいましょう、ペンドラゴン」
そして相手のこれからの命運を示唆するように真紅のライフルを優雅に構え、突き付けた。
神話の魔王を仕留める槍、ブリューナクさながらに。