複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.17 )
日時: 2014/04/05 03:04
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: QpYqoTPR)

 Act.3 紅の誇り 熱砂の竜


 アフリカ大陸北部の広大な荒涼地帯、サハラ砂漠。

 一面、砂の海を猛烈な速度で突き進む巨大な艦体ヨルムガント。

 その艦隊に付き添う様に並行して飛翔する三機のドラグーン。

 「今日も砂漠の航海は順調だ。なあ、ペルーシカ?」

 白い機体のドラグーン、フレースヴェルグを駆り、銀の髪の少女ドミネアが問う。

 「・・・変わり映えしない景色で退屈です」

 橙色の機体ヴィゾフィネルを操る朱い髪の少女、ペルーシカがうんざりしたように言う。

 「二人とも、敵が来た。お喋りは終わり」

 緑色の機体ニドヘッグのコックピットで紫の髪の少女セラフィナが二人の少女に知らせる。

 巨大砂潜艦ヨルムガントの周辺の砂の海から巨大なサメの形状をした竜の群れが跳ねる。

 「こいつは、大漁だ!!やるぜっ、フレースヴェルグ!!!」

 「どうやら退屈しないで済みそうですね、ヴィゾフィネル」

 「敵は狩る、それだけ。噛み砕け、ニドヘッグ」

 三機のドラグーンが獲物に標的を定めた。












 
 空中戦艦バハムートは広大な砂漠の上空で滞空し歩みを止めていた。

 その下方に巨大な砂潜艦ヨルムガントが停泊している。

 ヨルムガント管制室メインルーム。

 「よく来てくれたタチバナ。空の航海は順調か?」

 右目に眼帯をした年の頃四十の美女が笑顔でミヅキを労う。

 「相変わらずご息災でなによりです。マクヴァイン艦長」

 マクヴァインと呼ばれた女性は豪快に笑いながら葉巻を取り、ミヅキに話す。

 「うむ、地上は良いぞ。ちと竜種が多いが資源は豊富だ。それに食い物も美味い。合成品には出せない天然の味だ」

 そう言って葉巻に火を付け一服する。その腕から除く肌は鈍色の光沢を放つ。

 「マクヴァイン艦長、その腕は・・・」

 ミヅキが表情を険しくし尋ねる。

 「ん?ああ、これか。竜種細胞がまた駄々を捏ねてな、少し機械化部分を増やした。そんな顔をするな、これも未来を創る者たちを支えるための代償なのだ」

 笑いながら義手を見せる。

 ヴェロニカ・マクヴァイン。初期ドラグーンのパイロットを務めたメンバーで数少ない生き残り。身体に多大な不調をきたし第一戦を退き後進に道を譲ったが、今もこうして人類のために戦い続けている。 

 「お前たちの活躍は聞いているぞ。原竜種を仕留めたらしいな。うちの若い奴等にも見習わせたいものだ」

 ヴェロニカは葉巻を咥えながら、豪快に笑った。