複雑・ファジー小説
- Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.26 )
- 日時: 2014/03/28 15:15
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: k2zz/GQt)
バーチャルな砂漠の空間が数字の羅列に変わり、本来の訓練施設に戻る。
シュミレーターマシンから降りたドミネアは悔しそうに顔を歪める。
「アタシとした事が・・・!三人がかりなのになんて様だ・・・!」
「相手の戦力を見誤った時点で勝負は着いていたのでしょう。一対一で戦ったら、と思うとゾッとします」
「強かった、とても」
同じくマシンから降りたペルーシカとセラフィナが言う。
向かい側でエリーゼルもマシンから降り、こちらに歩いて来た。
ドミネアは気まずそうにし、顔を伏せる。
「・・・笑いたきゃ笑えよ。あんだけ息巻いてこのざまだ。さぞかし機嫌が良いだろう?」
自嘲的になるドミネアにエリーゼルは落ち着いた、それでいて威厳のある声で話す。
「良い戦いでしたわ。多少荒削りですが、素晴らしいチームワークで互いを補う連携は、とても勉強になりました。個人プレーばかりのうちの子たちにも見習わせたいくらいですわ」
そして深々と頭を下げる。
「先程の無礼な発言の数々、誠に申し訳ございません。騎士として人として恥じ入るばかりです・・・」
ドミネアはエリーゼルのさっきの猛烈な狩人の戦いぶりからは想像できないほどの殊勝な姿勢に面喰い、戸惑った。
「い、いや、謝るのはアタシのほうだ。正直にいうとアンタたちの活躍に嫉妬してたんだ。だから、実力を見せて認めてもらおうと・・・、すまなかった!!!」
ドミネアが勢いよく、頭を下げた。
エリーゼルはそっとドミネアの手を取り、握手をする。
はっと顔を上げてエリーゼルを見る。
それは慈愛に満ちた、とても優しい微笑みであった。
「ママ・・・?」
ドミネアは一瞬、遠い記憶のおぼろげな母を重ねた。
「ママ?」
エリーゼルがキョトンと問い返す。
「!? ち、違う!な、なんでもない!!!」
顔を真っ赤にし、手を振り払うドミネア。
クスクスと笑うペルーシカとセラフィナ。
「あのドミネアが・・・『ママ?』くくくっ・・・」
「ワロタw」
「おぉぉぉいっ!笑うなあぁぁぁっ!!」
微笑ましい光景を後にしエリーゼルはセツナたちの元に戻る。
「おつかれ〜っ!エリっち、凄い戦いだったよ!!」
「完封だった」
マリアが興奮冷めやらぬ様子で言う。セツナもいつの間にか戦いに見入っていた。
「ここは訓練には持って来いの場所ですわね。二人にはみっちり連携のイロハを叩き込みますから、覚悟しなさいな♪」
「ええー!!訓練は嫌だよ!遊びたいよ!!」
「・・・帰りたい」
駄々を捏ねるマリアと嫌そうにするセツナ。
エリーゼルは天使のような悪魔の笑みでニッコリと微笑んだ。