複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.28 )
日時: 2014/03/31 13:38
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: pYv9VleS)

 Act.4 黄金の絆 ふたつの魂
 

 海中で巨大な首の長い竜が身をくねらせ迫り来る。


 全身を覆う薄青の剛鱗を震わせ、並みの竜種の倍はあろうかという巨大海竜が、強靱な牙が生えそろった口腔を極限まで広げて海中を突進してきた。

 鋭利な爪を持つ巨大なヒレを絶え間なく掻き、泳ぐ動きは滑らかで、なおかつ巨体からは想像もつかぬ、水生生物特有の機敏な迅さで翻弄する。
 
 しかし、その牙が獲物を捉える寸前の絶妙な間合いで、裂帛の気合いをこめた刀剣の斬撃が巨大海竜の目玉を抉り、斬り裂く。

 「・・・この程度なの?」

 藍色の機体のドラグーンが刀剣を振り抜き、つまらなそうに言う。



 海竜がわずかに怯んだところに三又の長槍が巨体を襲い貫通する。

 「HeyHeyHey!隙だらけデス!!」

 巨大な槍を片手に黄緑のドラグーンがテンション高く海竜の肉体を引き裂く。



 間髪を容れず無尽蔵の銃撃が巨大海竜を撃ち抜きまくる。

 「これじゃあ準備運動にもならないね」

 二挺拳銃の迷彩柄のドラグーンが飽きた風に言う。



  苦しみもがく巨大海竜のやわらかな腹を藍色のドラグーンがしなやかな刀剣で深々と縦に薙いだ。

 「これ以上は時間の無駄。アブソリュード・ダンシングザッパー」

 剣の軌跡が縦横無尽に刻まれ、複数の急所を同時に斬り裂かれて、巨大海竜は断末魔の絶叫を残して絶命した。



 海竜の巨体は細切れとなり、闇が覗く深い深海の底に沈んでいった。


 
 「原竜種駆除完了。ティアマト、ケツァルカトル、ユルング。これより、リヴァイアサンに帰投する」


 海中を三機のドラグーンが高速で潜行した。