複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.29 )
日時: 2014/03/29 16:40
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: e2Ia0l.i)

 
 大木をなぎ倒し、大地を揺るがす巨大な蜥蜴がいななく。

 「老師!ここは僕のショクインに任せてください!!」

 凛とした少女の声で、反射的に上空に飛び退く白亜のドラグーン。斜線上に障害がなくなった瞬間、猛烈な勢いで矢が射出され巨大な体躯の蜥蜴の原竜種の眼に突き刺さる。

 巨竜は絶叫を上げ、その大きな口から強烈な消化液を吐き出し、己に矢を射った濃紺のドラグーンに浴びせかけようとする。

 それをかいくぐり、巨大な根を手にした薄朱のドラグーンが今まさに眼前に迫る消化液を高速で旋回させた根で霧散させた。

 「ありがとう!ルウミン!!」

 巨大な弓を持つ右半身に龍の装飾が施された濃紺のドラグーンが礼を述べる。

 「お礼はわたしのペクヨンに。それと点心五人前ね、フェン♪」

 長大な根を持つ左半身に龍の装飾が施された薄朱のドラグーンが明るく、おちゃらけて言う。

 「無駄話はあとじゃ!ふたりとも!!」

 幼くも威厳がある少女の声が木霊し、上空から高速で飛来する白亜のドラグーンの拳が炎を集束させて、原竜種の巨体に直撃する。巨体が揺らぎ咆哮をあげる巨竜の背にさらに炎を纏った拳が打ち込まれる。

 この隙に二体のドラグーンも攻撃に転じる。連続で射出される猛矢が巨大な体躯に穿たれ、長大な根の踊るような連撃が原竜種の外骨格を打ち砕く。

 そして続けざまに、機体の左右に交差する龍の装飾が施された白亜のドラグーンが超神速で突進し、息も絶え絶えな原竜種の懐に飛び込む。

 その無防備で、がら空きな腹に巨大な炎を燃え立たせた拳を叩き込んだ。

 「ゆくぞっ!ヴァリトラ!!超絶拳!!!火精竜気・朧!!!!」

 凄まじいまでの炎が噴き出し包み込み、巨竜の腹を貫いた。一瞬で炎は原竜種を覆い尽くし、焼き尽くす。

 すべてを焼却し、崩れゆく原竜種。


 「・・・最近、竜種の、特に原竜種の行動が活発ですね」
 
 「まるでなにかが起きる前触れみたいで不吉ね」

 「確かに彼奴らの生息区域が急激に広がってきておる・・・。ちと心配じゃのう・・・とりあえずシェンロンに帰艦じゃな」

 

 三機のドラグーンは燻ぶる灰となって散る巨竜の残骸を後にし、その場を去った。