複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.31 )
日時: 2014/03/29 23:03
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: LJWVvIF8)

 マリアが昏睡状態に陥り、ブリーフィングルームで緊急の会議が行われていた。

 「マリア・アースカードがいつ目覚めるのか解らぬ以上、対竜種はお前たちに頼らざる得ない。大きな負担を掛けてしまうだろう」

 艦長ミヅキがセツナ、エリーゼル、そして一部のパイロット候補生が集められていた。

 候補生たちは量産型ドラグーンの試作実験機を用いて、戦場に赴かねばならない。正規の竜機乗りが出撃できない時こそ彼女たちの真価が問われるのだ。

 一様に緊張する少女たち。訓練ではなく、実戦なのだ。ミスは即、死に繋がる。

 「安心して下さいな、皆さん。わたくしたちがサポートいたしますわ。日頃の訓練どおり行えば、何も心配いりません」

 「大丈夫、絶対に守るから」

 セツナとエリーゼルが皆の不安を和らげる、その時。

 凄まじい衝撃が艦を揺らす。

 「何だ!?何があったっ、ブリッジ!!」

 ミヅキが簡易モニターでブリッジに繋ぐ。

 「艦長!竜種が複数、艦を襲撃!!レーダーに反応が無く、発見が・・・!」

 再び衝撃が起こり、皆飛ばされまいと物に掴まる。

 「緊急出撃!!ただちにドラグーンを出撃せよ!セツナ、エリー、皆を頼む。敵の情報が解らない今、決して無理をするな」

 ミヅキが告げる。

 「「了解!!」」

 そしてセツナたちは突然の実践に戸惑う候補生たちを連れてドッグへと向かった。

 「・・・こんな時に襲ってくるとは。まるで狙い澄ましたようだな、竜種ども」

 ミヅキは肩を押さえブリッジに向かう。










 


 艦背部のドッグのハッチが開き、ワイバーン、ペンドラゴン、そして数人の候補生たちが乗る灰色のドラグーン数機が甲板に降り立つ。

 上空一万m以上の空の上、高速で航行するバハムートから強烈なGが掛かる。

 「落ち着きなさい皆さん、訓練と何も変わりません。わたくしたちがついておりますから」

 所在なさげに周りを見回し戸惑う候補生をなだめるエリーゼル。

 「来るぞ!武器を構えろ!!」

 セツナのワイバーンが素早く剣を構えると黒い影が飛翔し横切る。

 続々と艦を取り囲むように竜種が集まる。その数はいままでに戦った数を遥かに超すほどの群れだ。

 「・・・これはこれは、たくさんのお出迎え、痛み入りますわ」

 ペンドラゴンがライフルを構える。

 「・・・肩慣らしに丁度いい」

 ワイバーンが剣を振りかざす。

 候補生たちの試作ドラグーンはアサルトガンを構え、ゴクリと唾を呑み込む。

 人間と竜種の生死を賭けた戦いが始まった。