複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.33 )
日時: 2014/03/30 10:46
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: O9GTNW/u)

 無数に飛び回る竜種の群れに翻弄されるバハムートのドラグーンたち。

 「ぜやああああっ!!!」

 ワイバーンが空を駆け抜け、一気に竜種をまとめて両断する。そして翼を広げ、刃の羽根を幾重にも放ちブーメランのように次々と斬り裂き、その数を減らす。

 「大人しく寝てなさい!!!」
 
 ペンドラゴンが高速飛行しながらビームライフルを連射し、竜種を撃ち落す。幾つものファンネルが鋭角に追尾し、追いつめて撃破する。
 
 候補生たちは背中合わせに並び、旋回しながらアサルトガンで竜種を撃墜していく。

 だが、その数は一向に減らない。

 「くっ!これほど艦に密着されてはバスターモードを使用すると巻き込んでしまいますわ・・・!!」

 エリーゼルが口惜しそうにする。

 「わたしがやる。エリーゼルは候補生の援護を」

 セツナのワイバーンが振り返らず言う。

 「・・・わかりましたわ。おそらく統率する原竜種が潜んでいると思われますわ。お気を付けて・・・」

 ワイバーンは頷く代わりに長剣を振ると高速で並み居る竜種に斬り込んでった。
















 光が視える。

 とても暖かい光だ。

 そして、懐かしい。

 マリアはその光に手を伸ばした。












 メディカルルームに破砕音が響く。

 研究者たちは何事かと驚く。

 そこには破壊されたカプセルの上に佇む少女がいた。

 黄金のアーマースーツに身を包んだ金色の髪を持つ少女。

 その少女は上空を見ると瞬時に姿が掻き消えた。

















 「必殺!!!飛龍流星剣・斬!!!!」

 蒼穹の流星が竜種の群れを薙ぐ。

 その眼前に巨大な一つ目の巨竜が見据える。

 巨大な魔眼が一際大きく見開き、迸る閃光を放つ。

 閃光と流星が衝突し、空を光の奔流が埋め尽くす。

 光が収まり、ワイバーンが後方に飛び退く。

 「・・・こいつっ!?あたしのエネルギー波を相殺した!?」 

 巨翼を唸らせ、単眼の原竜種はその巨体に似合わぬ超速度で飛翔し、ワイバーンに急接近する。

 「!? 速いっ!!!」

 獲物の心臓を刈り取ろうと、鋭利な鉤爪を蒼い装甲に突き立てようとした瞬間————。


 黄色のドラグーン、ヒュドラが砲弾のごとく激突し、原竜種を体当たりで吹き飛ばした。




 「・・・マリア。眼が覚め・・・」

 ワイバーンはヒュドラに近づくも歩みを止め、剣を向ける。

 ヒュドラは動かない。

 「・・・お前は誰だ?」

 無言のヒュドラと剣を向けるワイバーン。

 不穏な空気が流れるが、下方から原竜種が飛翔し、単眼から極太の閃光を放つ。

 その膨大な熱線を両手で受け止めるヒュドラ。徐々に装甲が赤熱化しはじめ、溶けだしていく。

 コックピットには金色の髪の少女がその瞳を静かに閉じ、言う。

 「フレームキャストオフ。ドッペラー・システム発動」

 ヒュドラを黄金の光が包んだ。