複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.34 )
日時: 2014/04/12 12:19
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: AbL0epsw)

 ヒュドラの巨体を覆う装甲が切り離され、受ける閃光を瞬時に弾き消す。

 頭部、胸部、腕部、脚部、すべての装甲がパージされ、金色のドラグーンが現れる。

 まるでさなぎから羽化をする蝶のように、脱皮を繰り返す蛇のごとく、その全容を変質させて誕生する新たなドラグーン。

 黄金に輝く、しなやかで繊細なフォルムのボディ。頭部から流れる美しい金色の髪の様なコード群。それでいて女性のごとく細身の機体からはすべてを圧倒する力強さを感じさせる。

 美しくも、それを視る者に絶対的な畏怖を覚えさせる、それはそういう存在であった。

 コックピットの少女はゆっくりとした口調で言う。

 「いくよ、ハイドラ。『わたしたち』の力、見せてあげる」

 黄金のドラグーン、ハイドラはその場から姿が忽然と消え、原竜種の眼前に瞬間移動して出現する。

 そしてそのしなやかな腕をかざし、原竜種に向けて凄まじい衝撃波を放った。

 強烈な波動を喰らい吹き飛ぶ単眼の巨竜。ハイドラは再び衝撃波を放つ、続けざまに何度も何度も。

 原竜種の前肢が、頭部が、胴体と翼が、衝撃波によって削り潰されていく。

 そこにはもはや巨大な体躯を誇る竜の統率者の姿は無く、大量の血肉の塊に過ぎなかった。巨竜は最後の抵抗とばかり力を溜めると、血濡れの単眼を見開き極大の閃光を撃ち放った。




 閃光の余波を剣で防ぎながらワイバーンのコックピットでセツナは視た。

 極大の熱光をその身に受けながらも、平然とする金色のドラグーン。その身体を覆う不可視のエネルギーが膨大な光の奔流を遮り、同時にくらっていた。


 ハイドラは己に取り込んだ膨大なエネルギーを両腕に集約させ、眼を覆わんばかりの逆光とともに解き放つ。

 「ドラゴンノヴァー・レイ」

 放たれた黄金の輝きは原竜種を呑み込み、影も形も残さず消滅させた。