複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.4 )
日時: 2014/03/22 10:22
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: s4AxdT15)

 青空を駆ける蒼いドラグーン。

 それを追う様に翼を広げ、羽ばたく無数の竜種たち。

 蒼いドラグーンは反転し、眼前の竜種を巨大な長剣で真っ二つに切り裂く。

 周囲の竜種が一斉に凶悪な爪牙で迫る、が。

 「遅い」

 幾重にも閃刃の軌跡が描かれ、数瞬の後、竜種たちは木端微塵となって散る。

 蒼いドラグーン、ワイバーンは長剣を振り飛沫を払うと、上空に飛翔する一際巨大な竜種を一別した。

 まるで他の竜種を統率するかのごとく、堂々と滞空し値踏みする様に此方をその不気味な眼球で見つめている。

 コックピット内の黒髪の少女、セツナは鋭い視線を向ける。

 「・・・『原竜種げんりゅうしゅ』」

 セツナは呟いた。
 

 原竜種、それは竜種の統率者であり、すべての竜種の根底を成す存在であると言われている。すべての原竜種を滅ぼせば、竜種を根絶できると真しやかに囁かれているが、現時点ではそれを証明する術は無く、噂の域を出ない都市伝説の様なものになっていた。

 だがそれが噂だろうと真実だろうとすべての竜種は滅ぼさねばならない。

 「・・・竜種はすべて、私が殺す・・・!!」

 先程までの冷静な表情が見る見るうちに変化し、顔を歪ませる。

 セツナはワイバーンを駆り、原竜種の元に飛翔した。

 巨大な、駆逐艦の様な体躯を持つ原竜種に斬り込もうと疾駆するが、無数の竜種が行く手を遮る。

 「!! 邪魔をするな!!!」

 ワイバーンを大きく旋回させ、並み居る竜種を斬り捨てていくが、一向にその数が減らない。

 「・・・このままでは埒が明かない、メインジェネレーター最高出力!!激竜モード機動!!!」

 ワイバーンの背中の翼が大きく開き形状を変化させる。機体の各所の装甲が反転し展開、換装する。その姿はより鋭角的になり、全身で怒りを現しているかの様だ。

 「飛龍剣拘束解除!エネルギー充填開始!!」

 右手に掲げた長剣の刃が展開し刀身を変形させる。より巨大に、より長大に。膨大なエネルギーの波動が流れ込み、刃を覆う。

 それは巨大な蒼いレーザーブレード。

 今、まさに天を穿たんと煌々こうこうと輝く。

 「チャージ完了!出力120パーセント!!喰らえ!!!飛龍流星剣・斬!!!!」

 蒼い刀身を掲げ最高速で飛翔、そして全速力で急降下する。
   
 背中の翼が蒼い光を形成し、幻想的な羽を創る。


 それは流れる星のごとく光を放ちながら、無数の竜種を消滅させた。