複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.41 )
日時: 2014/04/04 00:45
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: syyiHjY.)

 再び大きな爆発が発生し、建物を大きく揺らす。

 「くうっ!!」

 衝撃でセツナはよろけ、壁にぶつかる。痛む身体を押さえ、通路を壁伝いに歩く。似た様な造りで迷いそうだが自分の中の竜種細胞が導くのを感じる。

 朦朧とする意識の中、セツナは幽鬼のように進んでいった。

 



 







 雷撃を放ちながら飛翔するケツァルカトルを駆るスフィーダ。コックピット内で機体と同じく鮮やかなエメラルドグリーンの長髪を揺らしながら嬉々として破壊活動をする。

 「Hey!このまま島ごとGrill して・・・!」

 そこに赤い影が飛び掛かってきて、ケツァルカトルは長槍でガードする。

 「Oh!Fack!!何者デスカ!!!」

 スフィーダが三又の長槍をかざし構えると、眼前に赤い機体が右腕に装着したアームウェポンをこちらに向けて襲ってきた。

 「これ以上はさせはしない!!ダハーカ!!!」

 赤いドラグーンに乗るバイザーの少女が叫ぶと、竜頭型のアームウェポンが口を開き、巨大な炎弾を放った。











 黄金の細工と白銀の装飾で飾られた二挺の拳銃で原生林一帯を薙ぎ払うユルング。

 「いい加減出てきな!島が穴だらけになるよ!!」

 森からユルングに向かって飛翔する青白い影。ユルングに搭乗する茶髪をワイルドに撫でつけた少女、リヴァネはすぐさま双銃を連続で乱射する。

 「やっと出てきたな!オラオラオラッ!!さっさと落ちなよ!!!」

 青白のドラグーンが銃弾の雨を掻い潜り、左腕の竜頭型のアームウェポンを開口し向ける。

 「お前たちの好きにはさせない!!ザハーク!!!」

 コックピットのバイザーの少女が叫び言うと、青い冷気が渦巻き放たれた。

 





 



 原生林にカモフラージュされた施設の破壊された壁から脱出し、原生林を抜けるセツナ。そして漆黒のドラグーンと戦闘した岩場の場所までたどり着いた。

 そこには無残にも破壊されたワイバーンが打ち捨てられていた。

 セツナはよろよろと蒼い竜機に歩み寄り、穿たれた穴にその身を寄せた。

 「・・・ごめんなさい、ワイバーン。わたしに力が無いばかりであなたをこんな目にあわせてしまって・・・」

 頬を涙が伝う。

 身体の痛みなど些細な事だ。

 ワイバーンのほうがもっと痛いのだ。

 「わたしにもっと力があれば、何者にも負けない力があれば・・・」

 混濁、朦朧とする意識の狭間、空を視ると何体もの竜機が戦っている。

 「・・・竜が、竜種がいる。・・・すべてを奪った憎い化け物が・・・」

 ぼやける視界に映るそれは、彼女にとって憎むべき対象にしか過ぎなかった。

 「力が欲しい・・・竜種を・・・滅ぼす・・・力が・・・」

 セツナの意識は徐々に薄れ、深淵の闇の海に深く沈んでいった。  

 その少女の呟きに答えるように蒼い竜機の双眸に光が燈った。