複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.47 )
日時: 2014/04/05 20:53
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: nLPrrFyW)

 Act.6 邂逅、再開 想い重ねて


 すべてのドラグーンのパイロットが感じた。

 己の中の竜種細胞が告げたのだ。

 集え、と。

 呼んでいる。

 行かなければならない。

 





 


 バハムート艦内。

 「この感じ・・・!エリっち!!」

 「ええ、ミス・マリア。あの子が呼んでいますわ」

 マリアとエリーゼルがドッグへと走って行った。











 ヨルムガント艦内。

 「これは・・・!?」

 「凄まじい巨大な反応を感じます」

 「緊急出撃」

 ドミネア、ペルーシカ、セラフィナが頷く。













 
 シェンロン艦内。

 「シャオ老師!この強大な気は・・・!?」

 「師匠!出撃ですか!?」

 「うむ、儂らも行かねばならぬな。若者が道を踏み外そうとしておる。後人を導くのも、年寄りの務めじゃからな」

 ボーイッシュな少女フェン、ポニーテールの少女ルウミン、中華風な幼女シャオがドラグーンのもとに向かった。
 
 



















 ワイバーンが残骸となった漆黒のドラグーンの機体を貪る。

 「やめろ!!!化け物!!!!」

 高速で接近、飛翔する赤い機体のドラグーン、ダハーカ。右腕のドラゴンヘッドアームを開口させ極大の火球を撃ち放ち、攻撃する。

 全身を赤々と猛炎に包み込まれるワイバーン。続けて幾つも放たれる巨大な炎弾。

 だが、揺らき燃え上がる劫火から蒼い豪腕が突出し、ダハーカの頭部を鷲掴み粉砕する。

 轟沈するダハーカの背後から青白のドラグーン、ザハークが現れ、開口された左腕のドラゴンヘッドアームから絶対零度の冷気の吐息を繰り出す。

 超極低温の冷気の渦がワイバーンを呑み込み、全身を一瞬にして凍結、結晶化させた。

 「やったか!!?」

 瞬間、氷塊を爆散させ、蒼い竜の剛爪が宙を薙いだ。

 ザハークの機体に切れ目が走り、上下左右に寸断され、空中分解した。

 舞い散る機械の破片が降る。

 残骸となった竜機を掴んだまま何事も無かったように佇む暴君。

 そして咆哮を上げた。













 ほんの僅かな時間。

 数機のドラグーンが瞬く間に駆逐された。

 圧倒的、驚異的、それは戦いとは呼べるものではない。

 蹂躙。

 まさに暴君。



 「Howat!? Oh my God!!! アレは何デスカ!!?」

 「あれはドラグーンじゃないよ、竜種そのものだね・・・」
 
 驚き、凝視するスフィーダとリヴァネ。

 遠方から驚愕した眼差しで視るミカエラたち。

 一部始終を目撃していた。

 ミカエラは全身を貫き浴びせられる怒気に背筋を震わせ戦慄した。しかし、慄きよりもその絶対的な力に魅せられていた。

 「・・・あれが、ドラグーンの究極系『ドラグ・バーラー』。だけど暴走しては意味がない。私はあんな無様な姿は晒さない・・・!」

 そして唇を吊り上げ、吠え猛る暴竜を蔑んだ眼で見つめた。