複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.48 )
日時: 2014/04/05 12:59
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: RXugjDaQ)

 吠え猛る蒼い暴竜を取り囲む三機のドラグーン。

 「Hey、ミカエラ。生かして連れ帰るのではなかったのデスカ?」

 「黒い奴のパイロット、もう死んでるよね。これじゃあ艦長にお仕置きされるよ?」

 スフィーダとリヴァネがミカエラに判断を仰ぐ。

 ミカエラはティアマトの太刀をワイバーンに突き付け、言う。

 「ちゃんと考えてる。代わりにコイツを連れて行く。コイツはバハムートのパイロット、セツナ・アオイだ」

 「Oh!!では、あのProjectの・・・?」

 「なるほど。既製品か・・・。それなら良いね」

 そして三機のドラグーンはそれぞれ武器を構え、戦闘態勢に移る。



 蒼の暴竜は己が取り囲まれているのに気付いたようだ。標的がそちらに移って、関心が無くなったのか、持っていた漆黒の竜機の残骸を投げ捨て、向き直った。



 「ふんっ。やる気みたいだ。姉妹品の劣化版がわたしたち次世代最新の機体に敵うものか」

 太刀をちらつかせながら、ミカエラは皮肉めいて言う。

 そして瞬時にワイバーンの懐に入り込み、剛刃を閃かせた。

 「さっさと逝かせてあげる。スパイラルデッドムーン!!!」

 ティアマトの剣閃が月光のごとく煌めき、無数の弧を描くとワイバーンの機体を撫で斬りにする。








 「You must daⅰ!Spark!!サンダーボルテックス!!!」

 ケツァルカトルのトライデントから翡翠の雷撃が幾つも迸り放たれ、ワイバーンを直撃する。上空を目も眩むほど電光が包み込み、火花を散らせる。








 「背中がガラ空きだ!!ディバイド・エンド・バレット!!!」

 ワイバーンの背後に廻りこんだユルングが金銀の双銃から弾丸を連続で撃ち放つ。弾丸が着弾する寸前、爆発し他の弾丸も連鎖的に誘爆を起こし、大爆発となった。








 粉煙が辺りを包み、止まぬうちに上空から超スピードでティアマトが飛翔してくる。

 「これでお終い。アブソリュード・ダンシングザッパ—!!!!」

 ティアマトの胸部、背部の各所から刀剣を搭載した無数のアームが展開される。

 刃の軌跡が幾重にも、何閃も刻まれ、縦横無尽に駆け抜ける。







 





 粉塵が収まり、蒼い竜機がその姿を現す。

 四肢は千切れ飛び失われ、機体は胴回りの装甲を幾つか残す無残な有り様だった。

 勝負は着いたも同然の結果だ。疑いようはない。

 その筈だ。

 だが、凄まじい攻撃を受け満身創痍にも関わらず、ワイバーンは悠然としている。

 次の瞬間、機体が蠢き、千切れた四肢が機械とも肉ともつかない盛り上がりと共に触手が突き出て、形成された。

 破損した各所も触手がうねりながら装甲を修復し瞬きする間もなく、すべてを再生してしまった。



 まるで何事もなかったように。