複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.49 )
日時: 2014/04/04 22:53
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: QpYqoTPR)


 一瞬の内に再生を果たしたワイバーン。

 既にドラグーンの限界を超えた別のモノに変わり果てていた。

 鳴動する巨躯を震わせ、凄まじい咆哮を上げる。







 「Heeeeey!!どうなってるんデスカー!!!まるでDamageがNothingデース!!!ミカエラッ!!!」

 ケツァルカトルの三又槍をティアマトに向けて抗議するスフィーダ。

 「殺さないで確保するのは無理じゃないか、これ。また再生するよ、キリが無い」

 ユルングの手をかかげ、お手上げのポーズにするリヴァネ。

 「ちっ!じゃあ、構わない。殺そう。残骸でも役に立つだろう。今度は手加減・・・」

 ミカエラが言いかけた時、ティアマトが装甲を砕かれ、吹き飛んでいた。 

 「「!!?」」

 スフィーダとリヴァネが事態に気付いた瞬間、ケツァルカトルとユルングも機体を損壊し彼方に吹き飛ばされていた。














 「ぐうううっ!?な、なにがっ!!?」

 急速で宙転し体勢を整えたティアマトの眼前にワイバーンが立ち、コックピットのモニター画面全体に巨大な顔部が映し出されていた。

 「!!! いつの間に!!?」

 ぶれる機体。激しい衝撃。めり込む装甲。暴竜の拳が直撃した。

 機体は凄まじい力で掴まれ、固定されて逃げられない。

 再びワイバーンの拳が胸部を殴打した。

 「うああううぅぅぅっ!!!」

 外装が砕け、飛び散り、分厚い装甲板が捲れて、回路がむき出しになる。それを凶悪な爪で毟り取ろうとする。


 「Faaaaaaaack!!!!クソBitchがああああああっっっっ!!!!!」

 「てめえはああああああっっっ殺すうううううううっっっっ!!!!!!」

 ワイバーンの背後に損壊したケツァルカトルが槍を構え電撃を発生させ、ユルングが銃を向け引き金に指を掛ける。

 二人は攻撃を繰り出そうとし、腹部を貫いている蒼い剛腕を見下ろした。

 「Oh!! Goddam・・・!!!」

 「畜生!!ジェネレーターがイカれた!!!サブに切り替えを・・・!!!」

 剛腕が抜き取られると二機のドラグーンは大地に墜落していった。 
 




 「調子にのるなあああああああっ!!!!!」

 ティアマトが無数のアームを展開し、蒼い暴君に縦横無尽に攻撃する。

 斬り裂き、突き刺し、破壊し、刻む。

 しかし虫に刺された程度にも反応しない暴竜。攻撃を受ける傍から修復していってしまう。

 ワイバーンが振り返り様に拳を振り抜くと半壊するティアマト。

 崩壊する機体を掴み上げると無慈悲な凶爪でバリバリと装甲板を引き剥がし、コックピットを露わにする。

 ミカエラは巨大な眼腔から覗く不気味な機械の瞳がこちらをジッと見つめているのを視た。

 「う・・・あ・・・」
 
 これまで幾度も死線を潜り抜けてきた。

 強力な竜種も原竜種も相手にしてきた。

 自分は死なないと自身があった。

 だが、そこにあった。

 絶対的な『死』。