複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.5 )
日時: 2014/03/22 12:27
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: s4AxdT15)


 眼を覆わんばかりの蒼い閃光が天空を駆け抜ける。

 斜線上の竜種はことごとく塵となり、周囲の竜種も衝撃の余波を受け、掻き消えた。




 ワイバーンは竜種の群れを一掃すると蒼い刀身を構え、周りを見渡す。

 「!? いない!?奴はどこだっ!!」

 竜種の大軍を消し去ったが、本命である原竜種の姿が見当たらない。いつの間にか逃げられてしまったようだ。

 空を埋め尽くしていた竜種の群れは、すべて姿を消し、日の光が注ぐ青空の静寂さを取り戻した。

 「・・・次は必ず・・・」

 コックピットで歯痒そうに唇を咬むセツナ。

 ワイバーンは剣を収め、その鋭角なシルエットのフォルムを換装し通常の姿に戻る。


 滞空する蒼いドラグーンに黄色いドラグーンと紅いドラグーンが飛行し傍にやって来る。

 「セツナっち、お疲れ様〜♪いや〜今日も大活躍だったね!」

 マリアが陽気な声で労う。

 「まあ、あの程度の敵、貴女の腕ならば大した事ありませんわね」

 エリーゼルが、さも当然と言った様に話す。


 二人の声に無言で空の彼方を見つめるセツナ。その表情はいつもの冷静なものになっており、振り返り二人に返事をする。

 「・・・ああ、そうだな。全機ドラグーン任務完了。帰還する」


 大空を三つの色が飛翔し、虚空に軌跡を描く。


 これで終わった訳ではない。

 彼女たちの戦いはこれからも続くのだから。
 

 すべての竜種を消し去るその時まで。