複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.61 )
日時: 2014/04/08 00:54
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: zc76bp3U)

 Act.7 竜よ知れ 目覚めよ、真なる力


 暗闇を走る幼い黒髪の少女。

 走れども走れども果てしなく続く、終わりなき道。

 少女が一歩踏み出す度にその姿を成長させていく。

 いつしか幼さが消え、蒼いパイロットスーツを着用した凛とした少女になっていた。

 道なき道を走り続ける少女。

 その先に黒いパイロットスーツを身に付けた少女が佇んでいる。

 その少女に追い付こうと必死に走る。

 黒衣の少女はこちらを一別すると背を向け歩き去る。

 手を伸ばし、なんとか掴もうとするが届かない。

 距離が縮まらない。

 離されていく。

 力の限り、喉から声を絞り出す。


 











 「姉さんっっっっっ!!!!!」

 「うわあっっ!!!びっくりしたあっっ!!!!」
















 
 
 飛び起き眼が覚める。

 辺りを見回した。

 どこかの室内でアジアンチックな装飾が施されている。

 こちらを驚いたように凝視する赤い髪のポニーテールの少女。


 「・・・ここは?」

 確か、大破したワイバーンの傍にいたはずだが・・・。

 記憶が曖昧だ。

 いや、おぼろげだが覚えている。

 蒼い、猛る暴竜。

 破壊される何体ものドラグーン。

 そして、暗闇から伸ばされた懐かしく暖かな手・・・。

 あれは・・・。


 「おーい。大丈夫?意識はハッキリしてるかな?」

 目の前で手を振る中華風なポニーテールの少女。

 セツナは考えを中断し、現状の確認と分析を優先する。

 「・・・あなたは誰?それとここはどこ?」

 「あー、はいはい。その前にこれ飲んでね」

 そう言って少女はセツナに湯呑を差し出す。ほのかに香る匂いからするとお茶のようだが。

 「これは?」

 「目覚ましの冷たいお茶。寝起きの頭をスッキリさせるんだよ」

 湯呑を受け取るセツナ。

 ヒンヤリとした感触が伝わる。よく冷えている。中身は普通の見た目だ、毒の類ではないだろう。

 唇に付け、ひと口すする。

 「・・・苦い」

 非常に苦かった。

 だが、不味くはない。残りを一気に飲み干す。

 冷たい喉越しが身体に染み渡り、モヤモヤとしていた思考をクリアにする。

 「美味しい・・・」

 セツナは軽く息を吐く。

 「うんっ、良かった。口にあってくれて。あなたとはいい友達になれそうね」

 少女は満足したように言うと笑顔になる。

 「アタシはルウミン。リー・ルウミン。ドラグーン、ペクヨンのパイロット。そしてここは陸戦要塞の中」

 そして満面の笑みで自己紹介をし、セツナを見た。

 「ようこそ、『シェンロン』へ。セツナ・アオイさん」