複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.63 )
日時: 2014/04/06 19:39
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: 7jSpI1pD)

 シェンロンドラグーン格納庫。


 セツナは二人の少女と会話していた。


 「初めまして、僕はウォン・フェンフェイ。フェンでいいよ。ドラグーン、ショクインのパイロットだよ。よろしくね」

 中華風なボーイッシュ少女、フェンがセツナに挨拶する。 

 「改めて自己紹介するわ。私はリー・ルウミン。これからよろしくね。セツナさん」

 セツナを介抱していたポニーテール少女も挨拶する。

 「・・・よろしく」

 セツナは新しい環境に戸惑いつつも、シャオに言われた通り自分の中の力を変えようと思った。同時に心の中に燻ぶる負の感情も押さえなければならないと。

 ドッグに格納されているドラグーンを見上げるセツナ。

 蒼い竜機ワイバーン。あの時、変質した姿のままだ。それは怒りを全体で現したような凶悪で刺々しい風貌だった。

 まだ暴れたりないと、もっと壊させろと、今すぐ拘束板を突き破り起動しそうな雰囲気を感じさせた。

 セツナが己の愛機を複雑そうに眺めていると、フェンが話しかける。

 「君のドラグーンを少し整備させてもらったけど、凄いね。今までいろんな機体を視たけど、これほど変わった竜機はないよ。もちろん悪い意味じゃないから」

 そして考え込むように腕を組み、顎に手を添えて言う。

 「う〜ん、なんて言うか、ドラグーンは竜種細胞が基礎になってるから機械と生物の中間的なのが普通なんだけど、この機体はちょっと違うんだよね。サラブレッドというかハイブリットな感じ?まあ、ようするに『特別』っていうことだよ」

 そう言って一緒にワイバーンを見上げる。




 「ほんとフェンはドラグーンいじりが好きね。一日中ドッグに籠りっぱなしもざらじゃない?セツナさん、気にしないで。この子はいつもこうだから」

 ルウミンが腰に手を当て、言う。

 「それより、シェンロンを案内してあげる。コロニーの街も見て回らないと。ここで生活するんだもん、いろいろ買い物しないとね。女の子は何かと入用だし。フェンも一緒に来なさい!」

 セツナはルウミンの押しの強さに困った。

 「・・・手持ちのお金が無い」

 「大丈夫!艦長から資金は沢山貰ってるから。さあ、行きましょう!」

 セツナは腕を組まれ、ドナドナと引き摺られていった。

 「セツナさん、ルウミンに気に入られちゃったみたいだね」

 その後を苦笑いのフェンが付いて行った。