複雑・ファジー小説
- Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.68 )
- 日時: 2014/04/08 14:39
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: PqmNCYUu)
爆煙、地鳴り、衝撃波。
大地に巨大なクレーターが築かれている。
粉塵煙まく中心に蒼の暴竜が佇む。
衝撃を躱したヴァリトラがルウミンのペクヨンとフェンのショクインの腕を引き、空中に逃れ飛翔していた。
「・・・ふうっ。今のは流石の儂もヒヤリとしたぞ。あと一歩遅かったら消し飛んでいたわい」
ワイバーンがこちらに向き直り、翼を広げる。
「お次は空中戦か。二人とも離れておれよ。今のお主たちには、ちと荷が重い。圧倒的に不利じゃぞ」
フェンとルウミンが頷き、シャオから離れると狙いを絞ったのか、ヴァリトラの前に超速で接近するワイバーン。
瞬時に双方、拳が繰り出される。
剛腕の鉤爪から放たれる凶刃。
しなやかな双腕から流れる拳の連撃。
翼を大きく拡張させ、より迅く、より鋭く繰り出される蒼竜の乱襲。
スラスターを全開に加速させ、より繊細に、より的確に攻撃を捌くヴァリトラ。
炎の拳を纏い、猛撃する。
「超絶拳・火竜精気・朧!!!!」
火炎の豪拳を蒼い機体に打ち込み、炎で包む。
躯体を覆う業火を翼で払拭し、掻き消すワイバーン。
「・・・ならば!!!超機功・武神轟天襲!!!!」
旋回、反転し、眼のも止まらぬ速度で蹴りの乱舞を繰り出す。ワイバーンが猛攻に両腕で防御するが、徐々に崩される。
瞬間、凄まじい踵落としが決まり、ワイバーンを叩き落とす。
すぐさま、追いかけ攻勢に転じようとするヴァリトラだが、宙転し、鋭利な翼の刃で斬り込み、迎え撃つワイバーンを紙一重で躱す。
二対の竜機が天空を縦横無尽に飛翔し、駆け巡る。
あまりの攻防の応酬に固唾を飲んで見守るルウミンとフェン。
二体のドラグーンの終わりなき闘争が繰り広げられている。
「・・・セツナよ、怖れるでない。すべてを受け入れるのだ。苦しみ、痛み、憎悪、恐怖。それらも皆、お主なのだ。己に打ち勝つのだ」
シャオが間合いを開け、静かに陽炎の様に揺らぎ、構えを取る。
ワイバーンは身を翻し天高く上昇すると、ヴァリトラに向けて、猛スピードで加速し始めた。
互いが激突する寸前、空中で姿をどちらとも眼に宿す。
ほんの一瞬。
直撃をしてしまうのではないかという間の静止した空間。
「超絶機神拳・銀牙千光」
残像を描く両手をワイバーンの胸部に添えるように重ねるヴァリトラ。
閃光がほとばしり、星の光を放つ。
無数の極光は銀河の流れを創る。
巨大な光の柱は牙のごとく、ワイバーンを貫いた。
落ちるワイバーン。
高高度の上空から滑落する。
それを冷静に見つめるシャオ。
「老師!このままでは地上に激突してしまいます!!急いで回収しなくては!!!」
「師匠!いくらなんでもこの高さから落ちたら死んじゃうよ!!!行かないならアタシが助ける!!!!」
憤慨するフェンとルウミン。今にも飛び出しそうな勢いの二人を手で制すシャオ。
「・・・まだじゃ」
小さくなるワイバーンの機影。
それもやがて見えなくなる。
が、
何かが超高速で上昇してくる。
「・・・うそ」
「こんなことが・・・」
「・・・これは覚悟せねばいかんか・・・?」
三人の眼前にワイバーンが悠然と立ちはだかった。