複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.78 )
日時: 2014/04/11 17:14
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: .7JOKgnc)


 大空を蒼い竜機が駆ける。

 天空を舞うその姿はまさに竜の騎士。

 風を切り、雲を抜け、優美な両翼をかかげ、飛翔する。

 ワイバーンD.R。

 ドラグーンの新たな可能性。






 
 シャオたちと判れたセツナはシェンロンを立ち、バハムートとの合流予定地点へと向かっていた。

 
 コックピットでセツナはルウミンたちから貰った大量のお土産で操縦席を埋め尽くされているのを見て、少し微笑んだことに気付く。

 「・・・最近、少し笑うことが多くなった気がする」

 口元に手をやり確認する。

 何となく、こういうのも悪くないとセツナは思った。


 その時、レーダーに反応があった。


 「・・・これは、ドラグーン?」

 反応は竜種のものではなく、ドラグーンのものではあったが、識別信号は無く未知の機体であった。








 謎の機影が超速で接近する。

 風を切り裂き、雲を突き破り、ワイバーンD.Rの眼前に現れる。








 藍色の躯体。

 それは、火山諸島で戦ったリヴァイアサンのドラグーン。

 ティアマト。







 だったとおぼしき機体。
 






 形状は禍々しい外観に変質しており、醜悪な竜種のそれを思わせる。藍色の外装に所々、赤い装甲板が組み込まれ、それが生き物の様に脈打ち蠢き、機体を覆っている。各所に歪で鋭利な突起が露出し、痛々しくも怖ましい、並みならぬ異形の力強さを物語る。





 ワイバーンD.Rのコックピットのモニターに藍色の髪の少女が映し出される。

 「くくくっ、セツナ・アオイ・・・。挨拶に来てやったぞ。また機体が変わったようだが、今の私には貴様の反応はどこにいても感じ取れる。まあ、貴様はあの時暴走状態で私が誰か判らないかもしれんがな」
 
 セツナはモニターに映る少女をジッと見る。

 知っている。この少女を。ハッキリと覚えている。ワイバーンが暴走した時、破壊したドラグーンに乗っていた。

 恐怖に慄き、こちらを見ていたのを。

 「・・・知ってる、覚えている。その竜機も」

 モニターの少女は少し驚き、その後、凶悪に口元を歪め笑う。

 「・・・そうか、覚えていたか。それは光栄だ。では、自己紹介をさせてもらう。私はミカエラ。ミカエラ・ルナ・アウジーラ、リヴァイアサンのドラグーンパイロットだ」

 さきほどから隠すことの無い殺気がミカエラから浴びせられている。

 セツナはいつでも戦闘に移れるように体勢を整えていた。

 「・・・それで?何かわたしに用?」

 ミカエラは薄く笑う、狂喜の表情で。

 「くくくっ、そうだ。用がある。借りを返しに来たのだ。あの時貴様から受けた屈辱の借りを!!このティアマト・アプスーでな!!!!」





 瞬間、ティアマト・アプスーの機体の外装が蠢き、各所から無数の大蛇型の巨大アームが展開された。
 



 そして両手の装甲が歪に盛り上がり、巨大な二振りの禍々しい曲刀が形成される。





 「さあっ!!開演時間だ!!!楽しいショーの始まりだ!!!!!」

 



 ミカエラは楽しそうに、凶悪に、笑った。