複雑・ファジー小説
- Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.80 )
- 日時: 2014/04/11 23:54
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: YOt4GnQH)
虫食いの穴の様に拡散し、消滅する黒い閃光。
「・・・私の力を相殺しただと?・・・ふ、ふふふっ」
驚愕するミカエラ。しかし不気味に、不敵に笑う。
「・・・それでこそ、貴様を潰し甲斐があるのだ。この程度で終わっては私が味わった屈辱は拭えない。今のは、ほんの小手調べだ。今度は本気・・・で・・・!!?が、がはっっっ!!!!」
コックピット内で大量に吐血するミカエラ。
「ううっ!?もうタイムリミットが・・・!?くっ、調整が必要か・・・!!!」
展開された複数のアームを収納するティアマト.アプスー。
「・・・セツナ・アオイ。次は本気で潰す。覚悟するがいい・・・」
そう言い残し彼方へと超速で去って行った。
小さくなる機影を見つめるセツナ。
おもわぬ強敵の出現。
何故、ドラグーン同士が戦わねばならないのか?
ミカエラが残した言葉。
『ドラグ・バーラー』とは一体・・・。
彼女とは再び戦わなければならない。
避けられないだろう。
そもそも竜種とは何か。
どこから来たのか。
なにが目的なのか。
それらからもたらされた竜種細胞。
そして造られた兵器。
ドラグーン。
それを成し得た生化学企業。
エキドナ。
湧き上がる疑惑、疑心。
一体この世界で何が起きているのだろうか。
解らないことばかりだ。
そして、ふと思う。
『あの人』は何を知ってしまったのか。
何を成そうとしているのか。
「・・・逢いたい、姉さん・・・」
呟くセツナ。
「はああああああっ!!!黒竜光塵剣・断!!!!」
双剣を構え、漆黒のドラグーンが黒い流星となって竜種の群れを殲滅しながらヒマラヤの荒野を飛翔し、駆け抜ける。
埋め尽くす程の怪異は影も形も無く、消滅した。
「・・・やはり、強力になっているわ。それに数も多い。これも世界の意志だとしたら・・・」
漆黒のドラグーン、ワイアームのコックピット内でシズク・アオイはひとりごちた。
ワイアームに近づく赤銅の機体、ダハーカ。
「シズクさん、こちらの竜種も片付きました。・・・しかし発見した施設は既に破壊されていたとは・・・」
リーシェが話す。
上空から飛行してきた青白の機影、ザハークが降り立つ。
「・・・こちらも収穫無しです。手掛かりになるものはすべて抹消されているようです」
リーファが残念そうに言う。
「仕方ないわ、次の目的地に向かいましょう。近づけばワイアームが共鳴するから何か判ると思う。何としてでも奴らより先にオリジナルを見つけなければいけないわ」
シズクは静かに言葉を紡ぐ。
「・・・必ず破壊する。あれは人類が手にするべきものではないモノ。再び世界が混沌に包まれる。そうなったら人類は・・・」
頷く三人の少女、三機のドラグーン。
そして三体の竜機が山脈を越え、飛び立って行った。