複雑・ファジー小説
- Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.84 )
- 日時: 2014/04/13 12:46
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: A2yHVZ/p)
アメリカ中央大陸。
かつて人種の垣根を超えた多くの多国籍の移民が移住し、繁栄と栄光を極めた強大な国家が存在した。
圧倒する経済力、軍事力で世界に君臨し、統率、支配した巨大な大国。
だがそれも突然の竜種出現により、幕を閉じる。
長きに渡り対抗したが他国と同様抵抗虚しく徐々に滅びの一途を辿った。
その大陸の上空、飛行する空中戦艦バハムート。
艦体から飛び立ち、飛翔する三機のドラグーンの機影。
鮮やかな真紅の機体を麗美に映し出すペンドラゴン。
「ミス・マリア。あなたのお父上があのドラグーン工学権威のラーク博士とは初耳でしたわ」
エリーゼルが話す。
陽光に照らされ輝く明黄の巨躯、ヒュドラ。
「・・・まあ、殆んど隠してたからね。色々聞かれたりするのはちょっと苦手だっだから。黙っててごめんね」
マリアが答える。
蒼黎の軌道を描き、先行する龍騎、ワイバーンD.R。
「・・・マリアが言うその研究所、まだあるといいけど。アメリカ大陸はもっとも竜種の活動が活発らしいから」
セツナが言う。
眼前に視えてくる広大な大陸と破壊された都市群。
崩落した摩天楼のビルディングと圧し折れた自由を象徴する女神像。
そして大陸中に穿たれた巨大なクレーター。
人類と竜種の壮絶な戦いが繰り広げられた痕跡が垣間見える。
「お父さんの研究所は地下施設にあるんだよ。誰にも秘密にしてたから、あたししかその存在は知らないんだ」
かつて大勢の人々が暮らしたであろう街並みの残骸を上空から飛行しつつ眺める三機のドラグーン。
もはや何者も生息することが不可能な現状に複雑な気分にさせられる。
竜種以外は。
「・・・ここだ。この地下に秘密研究所が・・・!?」
ヒュドラが郊外の一角に立ち止まり、周囲を見回すと何かの気配を感じて警戒する。
「みんな!何か来るよ!!凄く大きいのが・・・!!!これは、地面からだっ!!!!」
マリアの言葉と同時に大気が震え、大地が揺れる。
大きな地裂が走り、倒壊したビルが落ち、街並みが崩れ去る。
コンクリートの地面を破砕し、突き破り、長大な胴体をのたうたせながら超巨大なミミズのような竜種が全貌を現した。
「・・・原竜種!!!!!」
セツナは機体を翻し、瞬時に出現させた両極剣を装備して戦闘態勢に入る。
「嗚呼っ・・・。また、ニュルニュルですわ・・・。しかもこんな巨大な・・・。悪夢ですの・・・」
エリーゼルは光の無い遠い目をしつつ、ビームライフルを構える。
「まずはコイツをどうにかしないと駄目ってことね。よーしっ!いっちょヤッちゃうよ!!」
マリアがコックピットで気合いを入れ、躯をのたくらせる眼前の原竜種に狙いを定める。
ヌラヌラとした光沢を放つ巨大なワーム状の原竜種がイソギンチャクの触手のような怖ましい口を開け、不気味な鳴き声を轟かせた。