複雑・ファジー小説
- Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.86 )
- 日時: 2014/04/13 19:04
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: BvZBUYdW)
巨大なワーム型原竜種に飲み込まれてしまったヒュドラ。
「ミス・マリア!!?何てこと!!!直ぐに助けなければ・・・!!!!」
慌てるエリーゼルのペンドラゴンが原竜種に向かおうとすると、セツナのワイバーンD.Rがそれを押し留める。
「・・・待って。原竜種の様子がおかしい」
セツナの言葉通り、原竜種の動きが明らかに鈍くなった。
まるで苦しむように身をくねらせ、呻きを放つ。
そしてその悶えに呼応するように胴体が膨らむと亀裂が縦横に走り、隙間から金色の光が漏れだしてきた。
瞬間、爆散する原竜種の巨躯。
おびただしい肉片と体液が振りまかれ、一帯をグロテスクな物体に包む。
その中心に黄金に輝くスマートなフォルムのドラグーン。
全身を黄金の外装に繕いあげ、悠幻かつ怜悧な金色の髪をなびかせ、威風堂々と佇む。
断末魔の悲鳴を上げる原竜種は、黄金色の竜機から発せられた衝撃波で跡形も無く消し飛び、塵も残さなかった。
原竜種の消失と共に周囲のワーム状竜種も萎れるように干乾び、倒れた。
「・・・ドッペラー・システム稼働終了。ハイドラ通常モードに移行」
マリアの言葉に金色の姿を保つ機体が巨躯の外装を装着し、己自身の金の髪とアーマースーツの身体も瞬時に元の状態に戻る。
「ふうっ・・・。ちょっとビックリした。急に装甲が溶けてきたんだもん。あやうく消化されるとこだったよ」
ヒュドラに戻ったマリアが苦笑いする。
「・・・ビックリしたのはこっちですわ。心臓が止まるかと思いましたのよ」
エリーゼルが安心したのかホッと息を吐く。
「・・・無事で何より。怪我がなくてよかった」
セツナが労いの言葉を掛ける。
竜種との戦いを一先ず終えた三人は再び、地下研究所の在りかを探す。
地上は盛大な瓦礫の山と化し、竜種によって無数の穴が開けられてしまっていた。
「もしかしますと、今の戦闘で原竜種に破壊されてしまったのでは・・・?」
「う〜ん、どうかな〜?昔、核にも耐えられる防壁がどうとかって聞いた気がするんだけどな〜」
エリーゼルとマリアが機体を旋回させながら探索する。
「・・・ふたりとも。もしかしてこれがそうじゃない?」
遠くの方から何かを発見したセツナがモニターで呼びかけた。
原竜種によって開けられたであろう奈落の底とも思える巨大な穴。
その抉れた大地の地下に重厚な造りの巨大な施設が埋まっているのが確認できた。
「わあっ!これだよっ!間違いない、お父さんの地下秘密研究所だよ!!」
「原竜種の攻撃に耐えるとは、相当な技術力とお見受けしますわ・・・」
「・・・取り敢えず、入ってみる?」
入り口を探すがそれらしいものが見当たらない。
「この施設はね、アースカード家の者にしか反応しない構造になってるの」
そう言ってマリアが機体のハッチを開け、コックピットから身を乗り出しセンサーらしき物の前に立つ。
センサーから光が放たれマリアの身体を透過すると重厚な巨大な隔壁が唐突に開き、招き入れる様に可動式移動板が差し出された。
「よし、まだ動いてる。さあ、みんな行こう。何が起こるかあたしにも解らないから慎重にね」
そして三機のドラグーンごとマリアたちは施設に足を踏み入れていった。