複雑・ファジー小説

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.87 )
日時: 2014/04/14 00:30
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: BvZBUYdW)


 マリアたちが潜入した地下施設は広大なものだった。

 恐らく人類の拠点基地としてのシェルターとしての役割も持っていたのかもしれないが、それは使用されることは無かったようだ。

 三機のドラグーンが巨大な施設の奥へ進む。

 幾重もの隔壁が重々しく開くとそこはドラグーン製造ドッグ兼実験場のような場所だった。

 幾つもの拘束板と構築機材が立ち並び、かつてここで巨大なドラグーンが製造、開発されたことが分かる。

 
 マリアはヒュドラから降りると、機材が並ぶ中央の拘束台に歩み寄る。


 「あたしはいつもここで繋がれて、実験を受けていた・・・。多分それは全部『あの子』を造るため・・・」

 そう言って背後のヒュドラを見上げるマリア。

 「そしてお父さんはあの日を最後に・・・」

 懐かしく、でも寂しげに哀しげに拘束台に触れた。

 途端、今まで稼働していなかった機材が一斉に動き始めた。


 「何事ですの!?」

 「・・・嫌な感じがする」

 エリーゼルとセツナがドラグーンで身構える。

 「え?え?な、なに?どうしちゃったの?」

 戸惑うマリア、その背後の拘束台から無数のアームが展開しマリアの身体を捉える。
 
 そのまま締め付け、拘束し上空に持ち上げる。

 「きゃああああっ!?な、何なの!?何で!!?」

 アームに拘束されたマリア。

 背後の拘束台が大きく拡張し、無機質な機械音と共に移動して、向きを変えるとマリアをまるで磔のごとく固定し自由を奪う。

 「い、嫌っ!!!離してっ!!!こんなのやだよっ!!!!」

 何とか抜け出そうとするが拘束帯が機械と一体化してビクともしない。


 「ミス・マリア!!?今そっちに・・・!!!」

 「・・・すぐ助ける!!!」

 ふたりがドラグーンで助けようと前に踏み出す。

 その瞬間、突然ヒュドラが起動し、二機の機体の首を掴み隔壁に叩き付けた。

 そして凄まじい剛力で締め上げ、壁にめり込ませ押し付ける。

 「あぐぅっ!!?き、起動した!?な、何故ですの!?パイロットはいませんのに!!?」

 エリーゼルが衝撃の痛みに眩み、息を呑む。

 「・・・この力は!?ヒュドラから・・・!?いや、もっと別の・・・!!!」

 セツナがワイバーンを動かそうとするが、得体のしれない力の干渉を受けて微動だにできない。

 それは目の前で押さつけているドラグーンからのものではない。


 
 「セツナっち!?エリっち!?やめてっ!!ヒュドラ!!!やめてっっっ!!!!」

 磔にされたマリアが訴える。



 中央のコンソールマシンがひとりでに起動し、立体モニターが映し出される。



 モニターは徐々に白衣を着た成人男性を描き、構築する。

 知的な雰囲気で、しかしどこか冷たい印象の人物。







 「・・・お、お父、さ・・・ん・・・?」







 マリアが驚愕する。







 それは今は亡きマリアの父、ラーク・アースカードの姿だった。