複雑・ファジー小説
- Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.92 )
- 日時: 2014/04/15 10:44
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: rWLc9jDy)
爆炎が覆う。
絶大の破壊力と攻撃力が繰り出された。
すべて撃滅。
その筈だが。
「破ハは覇ハっ!学習シなイナ、我が娘ヨ!!」
粉塵が消え、姿を現す巨白のドラグーン。
あれ程の爆撃をその身に喰らった筈なのに、まったくの無傷であった。
「そんなっ!?効いてないの・・・!?何で・・・!!?」
コックピットのモニターに映し出されるその姿に絶句するマリア。
「言っタはず駄。オ前の乗るそノ機体は知り尽くシテいル。そ死てすべ手のドラグーンの基礎を築イた私なラバ攻撃予測ヲ把握する事が出来る野だ。コの疑似ドラグーン『ヒィドゥン』那らば、容易ナ事だ」
ラークを模したAIが操る巨白のドラグーン、ヒィドゥンは再び各装甲を開閉させ、パラボラアンテナを展開するとハイドラに向ける。
「ソして孤のヒィドゥンは対ドラグーン、特にマリア、オ前のヒュドラ及びハイドラを想定しテ設計さレ堕モノだ。・・・故にこ卯いウ事もで奇ル。キルリアン・パルサーショック!!!!!」
ヒィドゥンの搭載したアンテナから空間を歪曲する振動波が放たれ、ハイドラを包み込む。
「な、何これ!?・・・あううっ!?か、身体に力が・・・!?それに、ハイドラの出力が急激に下がって・・・!?」
急速にハイドラのエネルギー出力が減退し始めたと同じくマリアの肉体からも力が抜けていく。
もがくように抵抗するが、徐々に動きに精彩さが影を潜め、黄金の輝きも失ったハイドラがガクリと項垂れる。
「・・・ハイドラ、が、動か、ない・・・!?ううっ、あたし、の身体、も、力、が入ら、ない、よ・・・!!!」
コックピットで操縦席に寄り掛かる息も絶え絶えなマリア。
何かに心臓を掴まれたような圧迫感と魂を抜かれるような虚脱感が襲う。
大切な何かが己の中から抜け出てしまう。
消えてしまう。
心が叫びそうになる。
駄目、消えないで。
「安心しろ、マリア、イリア。ふたりとも最高の実験材料として最強の、最狂の新人類にしてやろう。人を、竜を、導く者として完全なる融合を果たす時が・・・」
機能停止したハイドラにゆっくりと寄る、穏やかな口調のヒィドゥン。
その手を伸ばそうとした時、
「わたくしたちの大切な仲間に触れないでいただきませんことっ!!!!!」
紅い閃光の雨が降り注ぐ。
紅の機体を飛翔させ、ペンドラゴンがライフルを連射する。
ヒィドゥンの機体を歪曲したフィールドが覆い、ビームの嵐を霧散させる。
「!? 光学兵器も無効化しますの!!?」
エリーゼルの怒涛の攻撃に微塵も構わず、手をハイドラに伸ばすヒィドゥン。
瞬迅。
斬り抜ける蒼い剣閃。
ヒィドゥンの巨腕を両断する蒼黎の竜騎士。
繰り出される蒼刃が巨白の機体を薙ぐ。
迫る長大な刃の斬撃を掠める様に躱し、後方へと素早く距離を取るヒィドゥン。
「・・・ヒィドゥンのDNフィールドを破るとは・・・。それにナノマシンを自力で除去したのか?実に興味深いな・・・」
ハイドラを庇うようにワイバーンD.Rが両極剣を構え、立ちはだかる。
「・・・みんな、大事なわたしたちの仲間。手出しはさせない」
両極剣の鋭い切っ先を向けて、セツナは宣言した。