複雑・ファジー小説
- Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.98 )
- 日時: 2014/04/22 19:24
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: jKtRhKej)
獲物を虎視眈々と狙う龍蛇がユラユラと長い首をくゆらせ、幾つもの赤い死の双眸を灯らせる。
「・・・セレス。私は『力』を手に入れた。誰にも、脅かされない、絶対的な『力』を・・・。それをお前に身を持って教えてやる・・・」
ミカエラが口元を歪め、邪悪な笑みを溢す。
「あら、そうですか?それは楽しみですね、ミカエラ」
白金のドラグーン、リンドブルムの腕を組んだまま圧倒的な押し寄せる重圧を物ともせず、セレスは素っ気ない返事をする。
互いに睨み合う事、数瞬。
数時間にも思える、重苦しく流れる時の刻み。
均衡を破り、ティアマトの大蛇のアームが一斉に触首を伸ばし、襲い掛かる。
「・・・喰らい付け、サーペントワーム」
何本もの噛み砕こうとする醜悪な蛇を残像を描き、躱すリンドブルム。
腕組みをしたまま、華麗に退けながら片足を高くかかげると、脚甲からブレードの刀身が展開される。
「あなたはダンスは得意かしら、ミカエラ?私は得意ですわ。ル・レクレ・ヴァルワォール!!!!」
凄まじい回転の衝撃波が竜巻のごとく巻き上がり、ティアマトの蛇頭を一気に木端微塵にするリンドブルム。
旋回する竜巻を身に纏い、ティアマトの胴体に回転蹴りを叩き込む。
渦巻く衝撃波が海上の波を巻き上げて、ティアマトごと呑み込み錐揉みさせて吹き飛ばす。
吹き飛ばされたままティアマトが龍蛇の首を再生し、黒い閃光を撃ちまくりながら体勢を整える。
無数の黒光を瞬間転移のように虚像を残しながら、避けるリンドブルムだが、どんどんと閃光の数が増え、速度も増す。
「くくくっ・・・。ダンスが得意なのだろう?セレス。私がお前の練習に付き合ってやるぞ・・・?」
ミカエラが落ち窪む黒ずんだ眼腔を楽しそうに歪める。
「では、お言葉に甘えさせてもらいましょう。レ・ラ・ヴァルチ!!!」
セレスは慌てる事無く言い放ち、リンドブルムの後背部から長大で優雅な白金の両翼が大きく広げられる。
翼を広げた機体を猛スピードで旋回させると回転する衝撃波が黒い閃光を打消し、海上の波をも取り込んで巻き込み、巨大な竜巻を形成し創り上げた。
その特大の竜巻を機体に纏い天高く飛翔し、高速旋回しながらリンドブルムはティアマト目掛けて急速降下する。
「オールヴォ・メル・シュトローム!!!!!!」
リンドブルムの超速回転蹴りがティアマトの胸部をドリルのように螺旋を描きながら、穿いて直撃する。
竜巻はそのままの勢いで上空から一気に海中まで突き抜け、海原を大波で濠氾させていく。
旋回する機体を徐々に緩やかし、リンドブルムのコックピットから波が交差する海上を一別するセレス。
「・・・もう、お相手はお終いですか、ミカエラ?あなたの『ドラグ・バーラー』の力はその程度ということ・・・」
海中から極大の闇光がほとばしる。
リンドブルムは瞬時に躱すが、展開した左翼が避け切れず、一瞬にして蒸発してしまう。
同時に波しぶきを立て、二振りの曲刀をかざすティアマトが斬り込んできた。
「セレェエエエス!!!!まだだぁああああっ!!!!」
「ふふっ、・・・では、もう一曲御付き合い下さい」
リンドブルムの両足から幾重にもブレードが露出し、ティアマトの双刀と打ち合わせられた。