複雑・ファジー小説
- Re: 『竜装機甲ドラグーン』 テラバーストディザイア ( No.17 )
- 日時: 2014/05/18 16:10
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: f/UYm5/w)
Act.6 開く地獄の門、呼ぶは煉獄
荒野を全力で翔ける三機のドラグーン。
「みんな、待っててっ! 直ぐ行くから!!」
清龍を疾駆させるジナ。
「あの原竜種、かなり強力な個体と見たわ! 私たちでもやれるかどうか・・・!!」
ケイが紫龍を走狗する。
「データーベースには情報が無いようですから、新種、もしくは変異種の可能性があります!!」
ユニスが黄龍からデータベースにアクセスして情報を探りつつ、機体を走らせる。
急がねば・・・。 支部の皆が危ない・・・。
怒りを顕わに咆え猛る原竜種。
溢れ出る体液を迸らせ、無惨に破れた片翼を広げて空に飛び上がると忌々しげに唸り、前方の蒼黒の竜機を睨視する。
蒼黒のドラグーン、アンフィスバエナのコックピットでシエルが真っ向から睨み返す。
「・・・悔しいか・・・? ・・・痛むか・・・? 貴様らの悲痛なぞ、わたしには心地良い調べにしかならない!!!」
原竜種が大きく口を開け広げ、火炎弾を連続射出させる。
「・・・ぬるい・・・!」
一閃。
猛然と迫る炎弾群をシエルは躊躇せず瞬時に構えたガンブレード、アヴァドゥームで切り裂き、次々と放たれる火球をすべて一刀の下に斬り伏せ霧散させた。
咆哮する原竜種が四肢の凶爪を翳して挑みかかる、が、それよりも迅くアンフィスバエナが背部のウィングスラスターを拡張展開、蒼炎をバーストさせて加速し銃剣で斬り抜き飛翔した。
絶叫。
肩口上部から、その巌のような鱗を断ち巨腕を落とされた異形。
「まだ・・・まだだっ・・・!!」
シエルは振り返り様に超速でガンブレードの真紅の刀身を十字に交差させる。
「クロスデッドスラッシュッ!!!」
十文字の赤い斬光が背中の翼ごと岩盤のごとき巨躯を斬り断ち、飛力を失った原竜種は落下する。
落下途中でグルリと向き直り、盛大に腹腔を膨張させると顎口から一際巨大な火炎弾を繰り出した。
「・・・芸が無い・・・下等存在が・・・」
そう吐き捨てると、下方にガンブレードを構え、照準を引き絞る。
「MGDリンク解放! エネルギーMAXロード・オーバー!! 撃ち開け、獄門、焼き尽くせ、アヴァドゥーム!!!」
真紅の刃先にフィールドが展開、空間の歪みが発生され、ワームホールが形成される。
「ヘルズゲート・プロミネンス・アストラルヴォイド!!!!!」
押し開らかれた亜空間から、無数の紅緋の閃光が襲いかかる。
赤光が墜ちる原竜種に直撃すると、巨大な禍々しい幾何学羅列の円陣が浮き上がって瞬時に紋様が真紅の球体と至り、圧縮、そして、
絶焔。
天上と地上を同時に穿つ煉獄の炎柱。
遠方、見上げる空。
赤々と染まる、まるで陽が落ちたように。
「えっ!? なに、あれ!?」
驚き、機体の足が止まるジナ。
「この方角は・・・!!」
ケイが荒野を照らす光を見る。
「これは、支部の方から・・・! 一体何が・・・!!」
ユニスが眩しさに瞼を細める。
三人が見据える、天を赤のヴェールで包み込むその先。
蒼黒のドラグーンが真紅の陽炎を纏い、揺らめいていた。