複雑・ファジー小説

Re: 『竜装機甲ドラグーン』 テラバーストディザイア ( No.3 )
日時: 2014/05/07 11:52
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: BjWSzvYn)

 荒れる高波を突き切る勝色と群青色の竜機の影。

 少女が駆る水蛟ミズチを瞬時に追い抜き、眼前に立ちはだかる二体のドラグーン。

 稲光に照らせれ、その姿を現した。

 逃げ道を塞ぐように海上に立ち、圧倒的なプレッシャーを放つ。


 「最適化は完了した・・・だが、追い付かれてしまったか・・・」

 少女は行く手を遮る二機を視る。

 あの時感じたものではない。

 やはり別の追っ手だった。

 だが、強力な戦闘力を持つ相手だと解る。

 脱出する際に撃破した汎用型とは比べるべくもない。


 「ふん、観念したか」

 勝色のドラグーンから気の強そうな少女の声が聞こえる。


 (あの機体は個人特化型か・・・厄介だな。この汎用型でいけるか?)


 「ただのイレギュラーごときが脱走を目論むとはな」

 「・・・」

 少女は黙して語らない。

 もう一機の群青色のドラグーンが話す。

 「ヴェカ、そのような物言いは・・・」
 
 こちらも少女の声だが、落ち着いた物腰の口調だ。

 「メルエヤル、アタシ達は本来なら、トップであって然るべきだ。にも関わらず、あんな得体の知れない連中がファーストナンバーズなどと・・・アタシは認めない」

 気の強そうな少女ヴェカが憤慨した風に言う。

 「各ナンバーズは、それぞれ違った特性を持っています。番号は優位を決定付けるものではないと断言します」

 落ち着いた口調の少女メルエヤルが諌める。

 「ふん・・・まあいい、脱走者を始末する」

 「私達の任務は捕縛です。その行動は認可されていません。上の判断を仰ぐ必要があります」

 
 その少女メルエヤルの言葉に反応する。

 (・・・! 抹殺ではないのか? これはチャンスを作れるか・・・) 

 反論するもうひとりの少女ヴェカ。

 「そんなことをしていたら、奴を取り逃がすぞ」

 「独断は禁物です。ここは彼女の身柄を拘束するべきでは?」

 メルエヤルの言葉にしばし考えるヴェカ。

 「ふん・・・なら、お前に三分の時間をやる」

 ヴェカの返事にメルエヤルは頷き、こちらに向き直る群青色のドラグーン。

 「了解。・・・そこのあなた、直ちに武装解除し、大人しく投降しなさい」

 メルエヤルが降伏勧告を促す。

 「・・・断る、と言ったら?」

 少女は剣呑さを込めて、聞き返す。

 「あなたを領海域の外へ出すわけにはいきません。強硬手段を取ります」

 「ここで・・・捕まるわけにはいかない」

 「では、その機体を停止させ、あなたの身柄を拘束します」

 群青色のドラグーンが背部から巨大なスパイク状の武器を取り出し、展開させる。


 (・・・わたしを殺さないというのなら、道は開ける)

 汎用ドラグーンに常備されているアサルトライフルとバイブレーションブレードを構える少女。

 「・・・必ず、生き残る・・・!!」



 相対するドラグーンがブースターを唸らせ、海上を爆進した。