複雑・ファジー小説

Re: 君を壊してあげよう。 ( No.3 )
日時: 2014/04/03 14:55
名前: 貝塚 (ID: gOBbXtG8)
参照: 性的表現に注意

 僕の身体は、君がつけた傷で溢れてる。
 もう、先へ進めないよ。いろんな痛みに慣れた僕でも、君が僕に一つずつつける傷は凄く痛い。
 辛い。苦しい。どうにかなってしまいそうだ。

 だったら僕は、作り笑いの裏側を掴んで剥いでみせてやる。君の本性を、この手で明かしてみせる。
 全てを知った暁には、もういっその事壊してしまおうか。とことんまでくだらない、君という存在を。

 僕は君といると、少しずつ、少しずつ削られていく。
 傷つける場所をなくしても尚、つけた傷を抉って僕を痛めつけてくる。
 僕は君と一緒にいたくない。会えないほうがいい。

 消えて。消えてといっているのに、どうしてこんなにもきつく、僕を抱きしめてくるの?

 僕って、一体何だろう。


  ◇ ◇ ◇


 貴方を傷つけていることは分かってる。
 それでも私は、貴方と一緒にいたい。
 誰かになりすまさないと日々を過ごせない、とても脆くて弱い私。
 貴方がいなくなってしまったら、私はもう全てが分からないの。

 きっといつか、私は強くなって見せる。
 私の中の貴方が溶けてしまう前に。私を壊そうとする貴方が、本当に私を壊す前に。
 だから、少しずつ滲んでいく貴方に、私は必死にしがみつく。

 遠くへ行かないで、もっと傍にいて。
 君を傷つけた罪は、きっと償ってみせる。
 お願いだから。つけてしまった傷は、いつか癒してあげるから。

 全霊をかけて。全てを尽くして。

 苦しいなら、そう言ってほしい。痛いなら、そう言ってほしい。
 その場凌ぎでも、貴方を癒したい。貴方という存在を私の中に定着させたいから。

 この想いさえ明かせない私は、まだまだ弱いんだ。
 明かせれば、それで全てが終わるのに。全てが終わる切欠を知っていながら、実行できないこんな自分が憎い。


  ◇ ◇ ◇


「はっ!」
「っ!?」

 僕は飛び起きた。
 変な夢か、嫌な悪夢から目が覚めたようで。

 時計が午前1時を指している。やっぱり夢だったようだ。

「大丈夫?」
「玲奈か……ごめん、起こしたね」
「いいのっ」

 玲奈はそういって、僕の頭を撫でてくれる。
 ————鳥肌が立つ。

 しかし、さっきの夢はなんだったのだろうか。
 僕のものらしき心の叫びに混じって、玲奈の心の叫びが聞こえた気がする。

 とりあえず、僕は気にしないでおくことにした。


  ◇ ◇ ◇


(竜胆君……)

 私『如月玲奈』は、今竜胆君と同じ布団で寝ている。
 休みの日はいつも一緒に寝泊りしているけど、一向に発展が無い。

 竜胆君が飛び起きたとき、私は少しビックリした。
 飛び起きたことに、じゃない。いつもと違う表情をしていたことに。

「ぁ……」

 私の股が疼く。


  ◇ ◇ ◇


「竜胆……く……んんっ!」

 あぁ、情けない。本当に情けない。
 最近、竜胆君が神妙な表情を浮かべるようになったのは、他でもない私の所為だ。
 竜胆君の事が恋しい。だけど、竜胆君が私の事をどう思っているか分からない。
 表面上では好きって言ってくれているけど、内心ではきっとそうではないと思う。

 だからこうして、トイレに行く振りをして自慰する事しか出来ない。
 切ない。竜胆君と繋がりたい。だけど、そんなことに踏み込めるような勇気が私にはない。
 脆くて弱い私。本当に、そんな自分が憎い。

「くぅ……うぁあ!」

 でも、こんなことをしたところで私は満たされない。
 涙ばかりが溢れて、余計に苦しくなる。
 早く、竜胆君と分かり合いたい。裏で糸を引くいざこざに終止符を打ちたい。