複雑・ファジー小説
- Re: Heaven or Hell? ( No.10 )
- 日時: 2014/04/11 10:14
- 名前: 翔 (ID: /IDVKD3r)
真っ黒の背景は変わらず、血を連想させるかのような赤い字でこう書き換えられていた。
【congratulations!貴方は3・4人目のお客様です】
それに合わせて先程まで無表情であったどくろが笑い出す。
その笑い方は俺を嘲笑しているようで、酷く不気味であった。
その頃千里はというと、目を見開いていた。
泣き虫なアイツにしては珍しい…
何となくどくろが笑ってたら泣きそうなものだが。
というか…俺は千里を巻き込んでしまったのか?
だからいつもあれほど俺のところに来るなと…
そんな俺の心を読んだのか、はたまた偶然なのか彼女は口を開き始める。
「健ちゃん、勝手に付いてきちゃってごめんね、けど私は何があっても健ちゃんから離れたくないから…えっと、その、後悔してないよ!」
俺が少し驚愕し、黙っていると、彼女は慌てたように付け足す。
「あっ!そういうところがうざいんだよね…ごめんなさい」
急にほうれん草がしなるように落ち込む千里。
しゅん…とはまさにこの状態。
何かさっきまでの緊迫感を一気に失ってしまった俺は思わず笑みを溢してたようだ。
さらに、無意識の内にとてもいつもの俺からは想像できない台詞を出していた。
『千里、ごめん、ありがとう』
勿論言った張本人が驚いているのだから当然受け手はもっと驚く訳で。
彼女の目からは涙が溢れていた。
「健ちゃんがっ!久し振りに笑ったっ、それでごめんでありがとうって…!」
混乱しているのかいつにも増して言葉が変だった。
でも確かに俺が笑ったのはいつ振りだろうか…
千里はいつも俺から離れなかった。
だから笑わなくなったことも知っているだろう。
………いや、笑えなくなったのを。
そしてごめんもありがとうも久し振り。
何もかもが新鮮だった。
千里がそんなことで喜んでくれたのは意外だったが…
悪い気はしなかった。何故か。
そうこうしていると地面がぐらつく。
は………?地震…?
しかしおかしい。こんなに揺れているのに部屋の物が一切揺れていない。
揺れているのは千里と俺だけだった。
おいおい…ここはちゃんと現実だよな…?
これが夢オチとか嫌だからな…?流石の俺も…
誰に言った訳でもなかったが、俺は強くそう思った。