複雑・ファジー小説

Re: 世界樹の焔とアルカナの加護 Ⅱ 〜ジェネシスの再創世〜 ( No.10 )
日時: 2014/04/04 21:00
名前: キコリ ◆yy6Pd8RHXs (ID: gOBbXtG8)

 シャーロッドは深夜の十一時ごろにテントを出、アストライアと名乗る少女と出会うまで一時間が経った。
 その後、勢いで帰れるだろうか。と思いきややはりそうではなかったらしく、結局拠点に戻ってきたときは既に朝だった。
 シャーロッドとしては、まず拠点に戻って来れたことに感動している。

「いてっ!」

 が、彼は早速ティアに頭を引っ叩かれていた。

「ロッド。私、一人で行動しないでって言ったよね」
「ご、ごめんなさい……」
「まあまあ、ティアも落ち着いてよ……ね?」

 ティアは腰に両手をあてがい、下を向くシャーロッドを容赦なく見下ろしている。
 この場にアルバーンがいたのが、幸いだったのかもしれない。彼女の声がティアを落ち着かせた。
 そんな光景を横目で時々見ながら、アストライアはどうすればいいのか分からないまま突っ立っている。
 彼女は今、アルバーンが急ごしらえで作った、草木で出来た服らしからぬ服を身に纏っている。

「改めて聞くけど、この子誰?」

 溜息をついたティアが訪ねる。

「僕さ……昨日、何か声が聞こえないかって聞いたでしょ」
「あの女の子の声がどうのっていうやつ?」
「うん。その声がどうしても五月蝿かったから、原因を突き止めるために昨日の夜テントを出たんだ。そしたら赤い光がテントの先でふわふわ浮いてて……」
「……その光についていったら、その子にあったの?」
「うん」

 アルバーンは二人の会話をそこまで聞くと、アストライアの方を向き、彼女の方へと歩いていく。
 ちょっとだけ屈み、アルバーンはアストライアと目線を同じにする。

「アストライアちゃんだっけ。君がロッドを誘ったの?」
「い、いえ……そんな覚えはありません……」
「うーん……じゃあ無意識? まさか、ね」


  ◇ ◇ ◇


 話していても埒が明かないので、一同はアストライアを旅に連れて行くことにした。
 様々な国を、これから回ることになる。その際に彼女の両親を見つければいいと、皆の意見が一致した結果だ。

 その後、一同は樹海を抜けてカルマ高原に到着した。
 だが樹海を抜けるまでの間、魔獣が一度も襲ってこなかった。
 何となく不気味に思ったシャーロッドたちだったが、とりあえず気にしないでおくことにした。