複雑・ファジー小説

Re: 銃声と道化師 ( No.4 )
日時: 2014/06/15 17:01
名前: ワッフル ◆uigiXIaCSo (ID: gOBbXtG8)
参照: 久し振りの更新でごめんなさい!

「え〜、奏君は急ですが、一時的に学校を休むことになったそうです」

 夏休みがあけて、始業式の今日。
 ホームルームで先生が話をしていた。よりにもよって、奏ちゃんの話を。
 夏休み前の思い出話とかもしてくる。私は、あふれ出る涙を堪えるのに必死だった。
 ここで泣いたら、きっと情けないって思われる。だから、我慢だ。

 でも、ホームルームを終えても、私は無口になりがちだった。


  ◇ ◇ ◇


「怜奈ちゃん、大丈夫?」
「辛かったら頼っていいからね? いつでも力になるから。ね?」

 下校中、私の友達〈園田綾〉と〈山下朱美〉が、私の背中をさすってくれた。

「ありがとう……」

 私はただ、そういって泣くことしかできなかった。

 もし、遠距離が辛いって言って別れ話を切り出されたら。
 もし、奏ちゃんが向こうで誰かと付き合っていたら。
 そう思うともう、耐え切れない。私という存在が壊れてしまいそうだ。
 今この場に友達がいなかったら、私は多分動けなかった————

 友達と別れた後、不意に私の携帯が鳴った。
 明るいメロディーなのに明るい気分になれないまま、私は携帯を鞄から取り出す。

 ————奏ちゃんからだ。

「!?」

 私は我を忘れてメールボックスを見た。

〔明日、1日だけ会える。カフェ亭コトリの前に午前10時に来てくれないか?〕

 そんな文が、画面に羅列されていた。
 ————とても信じられない。でも、返事など決まってる。

 会いたい。会って、奏ちゃんの温もりを感じたい。
 夏休みの残った一ヶ月、ずっと泣いて過ごした日々を吐き出したから。