ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

+壱羽 誘拐+





メシアの生き残りを捉えた。これもバーナード様の計画通り。
彼は我の希望で椿の牢獄へ隔離される事になった。
何故だろう彼と共に時間を過ごしていると不思議な気持ちになる。今までこんな気持ち感じたことのない。…なんだこれは。

「起こさんよーに慎重になぁー。ん?どうしたんや、叢ちゃん?」

少し考え事をしていると、ロックスが顔を覗き込んだ。
相変わらずこの男の顔は、見るに堪えないな。

「…なんでもない。少し汗をかいた。風呂に入る」
「あっ、そうか。ほんじゃ、こいつはわしらで片づけとくわ」
「あぁ。頼んだ」

適当な事を言って誤魔化し、椿の牢獄で用意された自室へと帰る。
皆、此処は入り組んでいるから迷子になる。嫌いだ。などどぬかしているが、我にはわからぬ。
地図を一度見ればそれで終わりだ。からくり仕掛けの近道などあるからそれを利用すればいいものを。

自室へと入る。バーナード様が頂いた、般若の面を机に置き、脱衣所で鎧を脱ぎ、しゃわーるーむなどと言う風呂へ入る。
我の自室は、ロックス曰くシンプルすぎるらしい。我的には必要最低限のもの以外、何を置く必要があるのかと聞きたいくらいだ。
奴の部屋は我の隠し撮り写真で部屋中埋め尽くされている。…あれはさすがの我でも引く。

ザンクは多数のナイフを置いていたな。
ユウは本が山になっていたな。
ナナはよくわからない骨董品などが並べられていたな。
エフォールはテント暮らしだから我とそう変わりはないだろう。
ロザリーはぴんくのふりるとかおひめさま…だったか?
うむ。皆の部屋と我の部屋。そう変わりはなにと思うのだが…。

「叢ちゃ〜ん、ちょっとえぇ〜かぁ〜?」
「ッ!!?」

この声はロックスか!?あやつめ我が入浴していると知っていながら入って来たのかっ!?
奴を相手にするのに素手でも十分だが…くっ!この格好で出るのは…。

「叢ちゃ〜ん?」
「な、なんだっ!?」
「あ、まだ風呂やったんか?」
「そうだ。だから帰れっ!」
「そない、冷たい事いわんといてな〜。昨晩は一緒に燃えたやないか」
「そんな事実ない!他の女と間違えているのではないか?」
「あっれ〜?」

あれではない。全く、どうして雄はこうも阿呆ばかりなのだ。…いや同じ雄でもバーナード様は素晴らしいが。…それにあのルシアとか言う少年も……

「って!我は何を考えているのだ!!?」
「あ〜?なに〜?」

奴は敵だぞ!いくらこの先、我を楽しませてくれそうな強者になりそうでも、理想の邪魔になる奴の芽は早めに刈り取らなければっ。

「叢ちゃ〜ん?」
「ッ!!ロックス、貴様それ以上こちらに入ったら殺すぞ!」
「おっと」

…油断もすきもない奴だ。
しゃわーを止め脱衣所に行くと、ない。ないのだ。我の鎧がない。

「あっ、鎧はしまわせてまらったで」
「なにっ!?」

鎧がなければ我は…裸で表に出なければならぬのか?…む。

「安心し、その代わりに洋服置いてるから」

確かに我がいつも、ムラクモとして活動するとき来ている服が籠の中に置いてあった。だが何故だ?

「叢ちゃん、イカンよ?」
「なにがだ?」
「ずっと重たい、鎧着て気をパッツンパッツンに張っとたら疲れるやろ?たまにはラフな格好してラクにせな」

別に鎧を着て疲れることなどないのだが…。
でも着るものがこれしかない。仕方ない。これを着る事にするか。
洋服を着て脱衣所を出ると案の定、ロックスの奴が両手をワキワキとさせ

「よしゃ、綺麗になったとこで、ベットイコか!」

と言ってきた。まぁ、此処はお約束の

「行くかーーー!!」
「ムギャーーー!!」

奴の股間をふぐり蹴り飛ばした。ロックスは股間を抑え悶絶している。自業自得だ。

自室を出るとエフォールに呼び止められた。

「……殺殺殺殺」

ザンクとユウとあのメシアの生き残りが運ばれた部屋へ様子を見に行くらしい。きっと話の論点がずれる為、我も参加して欲しいとの事だ。
今は何も仕事が入っていない。久しぶりに奴らの顔を見るのも悪くはないだろう。

「わかった。行こう」
「殺殺殺殺殺殺殺殺」

エフォールに案内される。
奴の寝顔か…ッ!何故我は少し、どきまぎしているのだ!こんなの日常茶飯事だろう!
あのメシアの生き残りと美しい満月を見て以来どうも、調子が悪い。一度、医者に診てもらった方がいいのか?