複雑・ファジー小説
- Re: シークレットガーデン-椿の牢獄- ( No.10 )
- 日時: 2014/04/16 17:26
- 名前: 姫凛 (ID: KIugb2Tf)
「アンタも来たんだ?」
メシアの生き残りが監禁されている部屋に着くと、先に来ていたユウとザンクが振り返る。
だいぶ待たせてしまったようだ。ザンクの奴が今にも暴れ出しそうな勢いで地面を蹴っている。
「待たせてすまない」
「別にいいよ」
「オレ様は待つのが嫌いなんだ。次遅れたらどうなるかわかってんだろうなぁ?」
「なにそれ?自慢?」
「あぁ?」
「やめろ」
「「ちっ」」
二人は顔を合わせるとすぐに喧嘩を始めてしまう。
血の気が多い事は良い事だが、周りに迷惑をかけるのはいけ好かないな。
まだブツブツなにか言っているようだったが、馬鹿はほって置いて、奴の顔見てみるか。いや…けして、寝顔が見たい…とかそゆうわけでは…って我は誰に向かって言っているのだっ!
「殺?」
「い、いや、なんでもないっ」
い、いかん。エフォールに様子をがおかしい事を気づかれてしまった。
ふぅー…緊張感がたりぬ証拠だな。こんな調子では任務に支障をきたすな。…もっとしっかりせねば。
鉄筋コンクリートで出来た部屋にポツンと置かれたベットを四人で囲むように立つ。
メシアの生き残りは気持ちよさそうにスヤスヤと寝ているようだ。…ちょっと可愛いな。
「ギャハハハッ!まさか、こんなに簡単に捕まえられるとわなぁ!!」
奴のちょっと?可愛い寝顔を眺めていると、ザンクの馬鹿が高らかに笑いながら言い出した。
「黙れ、ザンク。起きたらどうするつもりだ?」
こんな可愛い寝顔が見れなく…じゃなくて!今、面をしていない我がこやつら共にいる所を奴に見られたら王の計画が台無しだっ。そう!我はバーナード様の為に…。
「あぁ?起きたなら殺せばいいだけだろぉ!?」
ザンクは高らかに笑いながら言っている。いつもなら我も奴の事をあまりとやかく言わぬが、今日は駄目だ。奴を今ここで殺すのは駄目だ。
「…殺殺殺殺殺」
「バカか?貴様は?」
「なんだと…ユウ?」
「王に言われているだろ。メシアの生き残りはまだ殺すなと」
「ちっ、オレさまの知ったことかぁ!」
「殺殺殺殺殺殺殺…」
「つーか、エフォール!殺殺うるせぇ!!」
「…殺」
む。この空気は…いけない、またザンクとユウが睨み合っている。
このままではまた喧嘩を始めるだろう。なんとか話を逸らさねば…そうだ。
この前バーナード様が仰られてた、コロシアムの話を振ってみるか。コロシアムはユウの縄張りだし、ザンクのお気に入りだからきっとこの空気も何とかなるだろう。
「ユウ、コロシアムの景品はどうなった?」
「あぁ、ちゃんと用意しましたよっ」
「殺殺殺殺殺殺殺」
「誰だって?あの競馬大会で荒稼ぎしてた雌豚だよ」
雌豚?雌豚だと?…それはなんだ?食べ物か?あの豚肉の豚か?だが豚は豚だ。わざわざ雌豚、雄豚と言うのか…?
「あーーー!!殺したりねぇーー!!オレ様もコロシアムで殺しまくりたいぜぇ!ギャハハハッ!」
我が豚の事を考えているとザンクが殺したい、殺したいと駄々をこね始めたみたいだ。
あれが始まると抑える方は大変だ…。ここは遊びよりも仕事が大事だと教えておくか。
「ふんっ、ボクも遊びでうやってんじゃないんだ」
「ザンク。遊びたいのなら仕事をしろ」
「殺殺殺」
「あぁ?オレ様に命令するなぁ、雑魚ふぜいがぁぁぁ!!」
「やるかっ!」
「殺!」
いかんっ、三人が睨み合っている。
全くどうして皆こうも、血の気が多いのだ。そんなに戦いたいのなら、我がいつでも相手をするのに…。
いや今はそんな場合ではない。すぐにこの場を収めねばな。
「…やめろ」
「「叢?」」
三人共、武器を取り出すのをやめた。
ふぅ。危機一髪と言う奴が。…奴が怪我をしなくて良かった。
って!あーー、我は一体どうしたと言うのだっ!?何故、頭の中が奴の事でいっぱいなのだーー!!?
ハッ!?考えている場合ではない、何か言わねばまた怪しまれる。
「…休憩は終わりだ。仕事に戻れ」
「ちっ」
「ふんっ、わかったよ」
「殺殺殺」
三人はブツブツ言いながらも部屋を出て行った。
…二人っきりだな。こっそりとルシアに近づいて見る。
「スー」
色の白い肌が綺麗だ。いや綺麗を男に使って良いのか?…だけど
「……ッ!?」
あっ!?思わず手が伸びて、ルシアの…いや、メシアの生き残りの頬に触れてしまった。
我は何をしているのだっ!?相手は敵だぞ?バーナード様の理想を邪魔する者だぞ?そのような相手に気を許すなぞ…疲れているのか?
きっとそうだな…ずっと仕事ばかりだったからな…バーナード様に頼んで休みを貰ってみるか。
我は部屋を後にした。
だがこの時は気づきもしなかった。まさかメシアの生き残りがもうすでに目を覚まし我らの話を盗み聞きしてたなんて——