複雑・ファジー小説
- 『“私”を見つけて』01 ( No.2 )
- 日時: 2014/04/25 19:22
- 名前: マヒロ ◆eRcsbwzWZk (ID: g2Ez2oFh)
入学から一ヶ月程が経ち、クラスにも馴染めた私にはとても気の合う友人がいた。私とタイプは異なるものの、一緒にいて安心する。そんな友人だ。彼女の席は私の前であり、授業中や休み時間はほとんど一緒に過ごしていた。
艶やかな短い黒髪を揺らし、奥二重の瞳で私を見つめる彼女の名前は五十嵐鈴菜。いつも笑顔の可愛い女の子だ。
「菫ちゃん、今日ね、新任の先生が来るんだって!」
「この時期に新任の先生が来るなんて珍しいね」
「数学の千葉先生が産休入っちゃったからじゃないかなあ。男の先生だって言うから、イケメンだといいねっ」
「……良い先生だといいね」
この面食いめ。と思いながらも、顔立ちが良い人ならそれはそれで少々嬉しい気もする。私だって花の女子高校生なのだ、そんな淡い期待くらいはする。
教室はその話で持ちきりらしく、いつもより騒がしい。だが、その雰囲気を壊すように教室の扉がガラリと開いた。そこから出てきたのは担任教師と——色素の薄い髪を持ったメガネ男だった。
メガネ男は俗に言うイケメンで、クラスの女子が興奮したように再び騒がしくなる。担任教師が静かになるように注意すると、皆は文句を言いながらも静かになった。
「産休でお休みの千葉先生の代わりに来ました。このクラスの副担任になる三宅蓮です。よろしくお願いします」
手短に新任教師の紹介が終わると、特に連絡はなかったようでホームルームはすぐに幕を閉じた。一時限目は数学だ。三宅先生は数学担当らしく、この教室に留まって生徒に質問攻めを受けていた。
「本当にイケメン教師来たね! ふふっ、これから数学の時間が楽しみだよ」
「数学嫌いなのに、先生が変わったくらいで好きになる? どうせ三日もすれば慣れるよ」
単純な頭の持ち主である鈴菜を羨ましく思いながら、私はもう一度三宅先生に目を向けた。目鼻立ちが少しくっきりとしていて、日本人にはない美しさを持っている。だがその笑みはどこか不自然な感じがして、いくらイケメンで優しそうだといっても私は好きになれなかった。
***
実は中学三年生で書いたものを掘り起こしたものです
あ、今は高二なんですが;
だからちょっと変なところとか、辻褄があっていないところもあるとは思いますが、ご容赦ください^^