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複雑・ファジー小説
- エピローグ ( No.41 )
- 日時: 2014/08/19 11:26
- 名前: マヒロ ◆eRcsbwzWZk (ID: g2Ez2oFh)
一之宮財閥は無事蓮さんが継いだ。父の遺言だといえばすんなりその地位につけたが、社員からの反発も多少はあった。今ではすっかり敏腕社長だけど。
大学を卒業した私は、もう二十二歳になっていた。蓮さんといえばもう三十歳だ。最近はもう年だと嘆いている。
私は卒業と共に彼にずっと言おうと思っていたことを口にした。
「……蓮さん、結婚しませんか?」
「こんなおじさんでいいなら」
特に驚いた様子もなく、彼は答えた。ずっと前からこの想いがバレていたのだと思うと、途端に少しだけ心地悪くなった。
「おじさんなんかじゃないでしょ。それに、ずっと待ってたんじゃないの? こうなること」
「そうだな。少なくとも、三年前に復讐をやめようと思ってから、お前のために指輪を用意するくらいには待っていたよ」
蓮さんは青い箱を胸ポケットから出して私に見せた。……つまりは、そういうこと。安心した私は溜め息を吐いた。
「はあ……なんで私がプロポーズしているの。普通こういうものは男性がするんじゃない?」
「いいのいいの。俺もお前にプロポーズされてみたかったし、してみたかったから」
蓮さんは私に向き直って、跪いた。するりと手を取って、その甲に口付けをする。
キザだというのに何故かしっくりくる一連の動作に、私は恥ずかしくなった。
「菫さん、俺と結婚してください」
「……はいっ、喜んで」
ダイヤの指輪が、私の左手の薬指に通った。
***
ここでお話は終了です。
今までありがとうございました!!
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