複雑・ファジー小説

Re: 奇想天外!プロレス物語 ( No.3 )
日時: 2014/04/22 19:59
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

くそっ・・・・!なんで俺があんな奴に負けなきゃならんのだ!!

その日の放課後、俺は激しい屈辱感で絶対に奴を倒してやるとひとりで胸の内で宣言していた。

たぶん、そのときの俺の目は昔のスポ根アニメのように炎が宿っていたと思う。

俺は人に負けることがなにより嫌いだ。

勉強でも、スポーツでも、自分より強い奴に会うと野性の闘争本能というやつがむき出しになってくる。

われながらまだまだガキだと思うが、相手を倒し、俺の実力を認めさせた爽快感には変えられないものがある。

だからこうして、俺は下校する途中その足で本屋まで向かったのだが・・・・・

「クソッ、頭が痛ぇ・・・」

普段から頭を使う勉強よりもスポーツが好きな俺にとって、本屋はなじみがない場所だといっていい。

静かな空気や文字ばかりならぶ本を見ているとクラクラしてくるというのが正直な感想だ。

頭痛をこらえながら、スポーツ雑誌のコーナーに行き、本棚においてあるプロレス誌を読んでみたのだが、内容がさっぱり頭に入ってこない。

「ほう。ガキがプロレス誌を読むなんて珍しいな」

突然後ろから声がしたので振り向くと、長い茶色の長髪に猛禽類のように鋭い目、迷彩色のズボンを着た、引き締まった体格の若い男がいた。

「お前、プロレスに興味があるのか?」

「いや・・・あんまし・・・・」

「そうか。その割には一心不乱に読みふけっているのはなぜだ」

男に言われて気づいたのだが、雑誌の巻数を見ると20号と書いている。

ということは俺はもう19冊もパラ見したのか、我ながら結構読んだほうだと思う。

男はそんな俺の様子を見て鼻で笑うと、口を開いた。

「・・・・・キミ、才能がありそうだな。ひとつ俺が鍛えてやろう」

何?鍛えるだと?

「ああ、そうだ。きょうから君はこの俺、不動仁王の地獄の特訓で強くなるのだ」

ちょっと待て。なんであんたが勝手に決めるんだ!俺はプロレスに興味など・・・・

「あの大形に勝ちたくはないのか?」

「何!?どうしてそれを・・・・」

「どうやらお前はあいつのことについて何も知らないらしい。あいつが何者なのか教えてやるから、俺について来い」

男はニヤリと笑みを浮かべ、ついて来るように促した。