複雑・ファジー小説

Re: Aerial skydive【早速ですがキャラ募集!】 ( No.8 )
日時: 2014/05/03 18:29
名前: 芳美 ◆CZ87qverVo (ID: gOBbXtG8)

「うーん……」

 開け放たれた窓から、快い風と朝日が入ってくる。
 風が白いカーテンを揺らし、少女〈エアリィ・フェザード〉の頬を撫でていき、朝日と共に彼女に朝を告げる。

「起きたぁ!」

 ピンク色が可愛らしいベッドの上で、エアリィは目一杯伸びをする。
 やがてものの数秒で身体と脳が目覚めると、彼女は元気よくベッドから飛び出た。
 寝巻きではなく肌着姿で寝ていた彼女は、まず箪笥の前へと足を運んだ。

「何着ていこうかなー……」

 今日は休日。予てよりエアリィは、友達と遊ぶ約束を交わしている。
 朝の8時より待ち合わせ、映画を見に行くことをメインとし、その他諸々遊ぶのが今日のプランだ。
 アウトドア派のエアリィは、お出かけという単語に心を弾ませる。

 やがてエアリィは、白いワンピースを取り出して身に纏った。
 絶えず部屋に入ってくる風が、着用したワンピースの裾と彼女の長い金髪を揺らす。

 準備を終えて丁度階下へ降りようとしたとき、彼女が持つ携帯が明るいメロディと共に震えた。
 幼馴染である〈リノン・クロスリー〉からのメールだった。エアリィは慣れた手つきでメールボックスを開く。

〔まだ?〕

 本文には、その一文——というよりは一言——だけが綴られている。

(ヤバっ)

 エアリィは焦った。
 携帯電話が指す時間が8時30分なのに対し、約束の時間は8時丁度。実に30分が過ぎている。
 戸締りだけ確認して部屋を出たエアリィは、慌しく階段を下り始めた。


  ◇ ◇ ◇


 出張で親がいないこの家で、朝食など用意されているわけが無い。
 エアリィは朝食を摂らないまま、玄関の鍵を閉めて家を出た。否、飛び出した。

 人気(ひとけ)のない路地裏を走りぬけ、若干息を切らせながら大通りにやってくる。
 また暫く走った先にて。横断歩道の向こう側で手を振る、黒を基調とした服に身を包んだ、眠そうな小柄の少女がいた。

 リノンだ。

「リノン!」

 エアリィは彼女を発見するなり、横断歩道を飛び出て駆け寄った。
 その時に自転車や車が通らなかったのは、ある意味幸運だったというべきなのかもしれない。
 リノンはエアリィが横断歩道を飛び出したとき内心焦ったが、表情には一切表れなかった。

 やってきたエアリィに、リノンは飛びつく。

「おっと」
「エアリィ……」

 いつもの事なので、エアリィは慣れていた。
 藍のさらさらしたリノンの髪に触れる。

「いつも甘えん坊だねっ」

 エアリィのからかいに対し、リノンは何も言わなかった。