複雑・ファジー小説

Re: ユーリの冒険【キャラ募集】 ( No.26 )
日時: 2014/05/11 18:47
名前: 千螺虔迅 (ID: gOBbXtG8)
参照: あいみるちゃさん、修正の方を確認しました。

 あてずっぽう。それは当て推量とも言い、基本的には馬鹿のやることだ。
 何の根拠も無しに自分勝手におしはかる様のことを言うのだが、現状のリクには正にその言葉がピッタリであった。

 ユーリ探しの旅を始めて二日経つまでの事だが、彼は様々な町にある民家を隅々まで回ってユーリを探していた。
 勿論、そのような方法でユーリが見つかることなど無い。可能性的には否定できないが、それでも確率は恐ろしく低い。
 そもそも、ユーリがどこかの民家にいるという可能性だって低い。このような探し方では効率が悪いのが目に見えている。

「あー、クソぉ!」

 こういう時に限り、リクは自分の頭の悪さを呪いたくなる。
 もっと他に効率のいいやり方は無いのだろうか。そう考えるとどのやり方も全て一緒に見えてくる。
 それならば効率は考えずに、他の方法は無いのだろうかと考える。それで一応思いつくのだが、やはり全て一緒に見える。

 どれが一番効率がいいのか、全く分からないまま奔走した結果がこれである。

 そうしてああしてこうして二日が過ぎたとき、彼は完全に忘れていた存在に気付いて閃いた。

「あーそうだ、千里眼があるじゃん! あーもーくそー、俺の馬鹿馬鹿馬鹿!!」

 千里眼。それは、生まれつきリクに備わっている特殊な能力のこと。
 魔法や技術とは違う、未来予知の力に続いて発生した全く新しい能力の一つ。
 その内の千里眼は、遠いところでの出来事を見通すことが出来る。つまり、ユーリが今何処にいるのかが容易に分かるのだ。

 リクは、そんな単純なことに気付かないまま二日を無駄に費やした。
 そりゃ呪いたくもなるわ。そう思う人は山ほどいることだろう。

 早速彼は千里眼を発動した。
 目を閉じて一つの事に集中し、見たいものの像を思い浮かべれば忽ち対象の存在が分かる。
 そんな不思議で便利な力を、リクは自分でも感心するほどに最大限に駆使する。

(?)

 発動して暫くした後、まずユーリが健全な状態で存命していることが分かった。
 ホッとしたリクは、次いでユーリの居場所を確認する。

「え、ここって……」

 視えたユーリの現在位置を知るなり、リクは思わず声を漏らしてしまった。

(何でユーリが、この星の裏側にいるんだ?)


  ◇ ◇ ◇


 ユーリの母親<エマ>は、料理のお裾分けにやってきた男性<ランラシャ・レウコン>と話をしていた。
 彼女の元からユーリがいなくなって数日が経っている。彼女の元気は目に見えて無くなってきていた。
 そんな彼女を、ランラシャは励ますことしか出来ずにいた。

 彼はかつて遭った交通事故で声帯を失っているので、常に念話で会話をしている。

『それは災難でしたね』
「えぇ、本当に。あの子、無事でいてくれてるといいのですけれど……」

 彼は、ユーリの失踪事件についてエマから聞いていた。
 ユーリとは元々仲が良かった間柄にあるだけあってか、そのことをエマから聞かされた彼はやはり悲しげな表情を浮かべた。

『僕もお力になれたら良いのですが、今は難しいですね。聞けば、ユーリの友達も家出同然で旅に出たとか』
「あら、そうなのですか?」

 ランラシャは意外と、ご近所のママたちと仲が良い。
 情報に関しては、入手に至るまでの時間が周囲よりも一段と早い。
 下手すればそこいらの情報屋よりも持っている情報量が多かったりする。

『えぇ。最近では、親友の立場にいるリク君やフロイちゃんが旅立ったと聞きました』
「あらあら、皆さんも大変ですわねぇ……」