複雑・ファジー小説

Re: ライオンさんとぼくのお話 ( No.24 )
日時: 2014/05/15 07:10
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

第20話

「おう、チビ天使とネコと関西弁女か」

ぼくたちが話していると突然ガラの悪い人がやってきた。

「チビはひどいですよ!」

星野くんが反論する。

「うっせぇな。髪ひっぱんぞ」

言う前に星野くんの茶色のつやつやした髪をひっぱる彼。

「い・・・いたいですよ。放してください!」

「ったく、マネージャーのくせにチンタラしてんじゃねぇぞ!」

パアンという乾いた音が響いた。

彼が星野くんの頬をひっぱいたいたのだ。

色白の星野くんの頬が赤く染まる。

「もう一発くらいたくないなら、早くドリンクもってこい!」

ひ・・・ひどい、この人・・・

「あ?おまえら、なんか文句でもあんのか?」

い、いえ、なんでも・・・

「おまえら新入部員だな。ならグラウンド&外周それぞれ20周!」

に、20周〜!?

「つべこべ言わずに、走れってんだろ!」

は、はい〜!

ぼくたちふたりは制服のまま外周に向かった。

そのときだった。

「きみたち。待ちたまえ」

ぼくたちの前に堂々とした男の人が立ちはだかった。

顔はふつうだけど、目にはただならぬ覇気が感じられる。

「きみたちは新入部員だね」

はい、そうですが・・・

「この外周を命じたのは。誰だね」

えっと・・・

「早く走れってんだろ〜っ」

さっきのガラの悪い人が追いかけてくる。

ひっ、殴られる、走らないと!

ぼくたちが走ろうとすると、その人が大きな手でそれをさえぎった。

「ここにいなさい。私の後ろにいれば絶対に安全だ」

言われるがままに後ろにいると、

「キャ・・・キャプテン!?」

ガラの悪い人の声色が変わる。

「おまえはなぜ、彼らを殴ろうとしている」

「そ、そいつら新入部員のくせに走ろうともしないんだぜ!一発殴らせろよ」

「そうか・・・・おまえの言い分は確かにわかる。だが、彼らにも走れないわけがあるのだ」

「わけなんてきいてられっかよ!殴らせろよ!」

「断る。彼らもきょうから我々サッカー部のメンバーだ。
サッカーはチームワークが大切だ。
つまり我々は家族同然の深い絆で結ばれているのだ。
その家族をおまえは殴るのか。チームワークを乱すようなことをするのか」

「・・・・・キャプテン」

「わかったのならよろしい。我々サッカー部員は深い友情で結ばれていることを忘れるな」

ガラの悪い人をとおりすぎていくキャプテン。

なんてカッコイイ人なんだろう・・・

しばらく呆然としていたぼくたちだけど、ふいにガラの悪い人に襟首をつかまれた。

「てめぇら・・・キャプテンに何を言いやがった?!」

ぼ、ぼくたちは何も・・・

「フッ、そうなると思った」

いつのまにか、キャプテンが彼の後ろにいた。

「ヒッ・・・お、お許しください・・・」

「おまえは大切なチームメイトをいじめた!よって、退部してもらう!!」